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和歌山県・有田川町で木質バイオマス発電

シン・エナジー株式会社は、和歌山県有田郡有田川町にて900kWの木質バイオマス発電事業を行う(2020年5月に着工、同年12月に発電開始予定)。同発電所は、地元の金融機関の融資や林業関係者などから出資を募り、地元主体の発電所。

未利用材を有効活用、電気と熱を供給、カーボンニュートラル

発電設備は URBAS(ウルバス)社製(オーストリア製)の熱電併給装置を採用。発電定格出力 450kW×2の同設備導入は、国内初となる。

和歌山県は森林率が全国で第8位と、豊富な森林資源を有している。しかし、急峻な地形により伐採が容易でないことや、木材の買取価格が年々下落してきたなどの理由から、近年は林業が低迷しつつあった。

一方、有田川町ではこれまでに風力発電、太陽光発電、小水力発電を導入し、再生可能エネルギーの導入促進やごみの分別徹底・資源化を推進してきた。2017年には、小水力発電所の取り組みが「新エネ大賞」資源エネルギー庁長官賞を受賞するなど、その活動が高く評価されている。

同事業の3つのポイント
①地域主導:発電所の出資比率は地元企業の割合を高くし、地域主導の意思決定を可能にする。
②技術:安定稼働、メンテナンスの負担低減で、FIT終了後を見据えたエンジニアリング力。
③経済性:事業の発展性を考え高効率なシステムを導入。

燃料には地元の未利用材のみを採用し、年間で約10,000トンの木材をチップに加工して使用。発電した電力は固定価格買取制度(FIT制度)を利用し、関西電力株式会社へ全量売電する予定。

発電の際に生じた熱はチップ製造工場へ供給し、チップの乾燥に利用するほか、熱利用施設や工場など近隣 の熱需要家に供給する予定。同システムの発電効率は31%で、熱利用も含めると総合エネルギー効率は最大で82%になるという。

また、今後は工場や農家、行政施設などにバイオマスボイラーを設置し、 燃料となるチップの販売などを進め、地域の化石燃料を減らしていくバイオマスセンターとする考え。

これにより、地域内の森林資源をエネルギーに変えることで、林業が活性化することや間伐材の採取が促進されることで、森林整備に繋がること、発電の燃焼時に発生した CO2を植林された苗が吸収することで、実質のC02排出をゼロとする「カーボンニュートラル」が実現できるとされる。

木質バイオマスは現在、温泉宿泊施設などでの活用にも全国的に注目が高まっている。

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