増加する訪日客と東京や大阪、京都などを中心に激化するホテル開業ラッシュ。今回は、アコージャパン代表取締役 エリック・ディグネジオ氏に同社の日本ホテル戦略について話を伺った。
京都悠洛ホテル Mギャラリーの開業
アコーは、4月26日に新ブランド「Mギャラリー」での日本初進出、「京都悠洛ホテル Mギャラリー」を京都三条大橋に開業した。エリック氏は京都での同ブランドの開業の意義について以下のように語った。
「Mギャラリーはアコーのラグジュアリーブランドであり、ブティックホテルです。京都にはまだまだラグジュアリーホテルの展開が少ないと考えています。そのような中で、京都というローカルストーリーを持つ立地において「体験」をキーワードに「日本の本物を見せたい」「リアルな京都体験を提供したい」と思い、この地での開業を決めました。」
5年で倍増、30軒以上展開へ
また、エリック氏は、同社の今後のホテル展開について以下のように語る。
「アコーは、ヒルトンやハイアットより遅れて日本に進出をしました。現在、16軒となっており、2011年からは年一軒のペースで開業を行なってきました。他方で、昨年には4軒の開業を行い、今年2019年から来年2020年にかけても京都や名古屋などで4軒の開業を予定するなど、さらに開業を加速する予定です。5年後には、現在の倍以上、30軒以上のホテル展開を予定しています。
イビス、メルキュール、ノボテルなどのビジネスホテルのブランドも展開しますが、特に鍵となる都市においては、Mギャラリーのようなラグジュアリーブランドを展開していきたいと考えています。東京や大阪、京都に加えて、札幌、広島、金沢、沖縄のリゾート地についても開業を検討しています。
アコーは近年会社としてブランドの数を増やしており、開業する地域に合わせてどのブランドが適切かということを考えて展開をしています。」
ラグジュアリー・ライフスタイル型ホテルが不足
同氏に、今後の日本における訪日客や国内観光需要の推移とホテル供給に関して、考えを伺った。
「訪日客については東京五輪後の落ち込みについてはよく質問されます。しかし、訪日客が増えたのは、五輪やラグビー(ワールドカップ)が開催される予定であるという要因だけではありません。日本の訪日客を受け入れるインフラ自体が良くなっています。ビザの発給も緩和されています。また、円安の要因もあるでしょう。こういった条件が整ってきたなかで、訪日客が増加しています。そのため、東京五輪以降も訪日客の増加を予測しています。
もちろん、場所によってはホテル出店が過剰になっている地域があるのは事実でしょう。例えば、京都駅周辺ではこの3年間で供給が倍増、特に低価格のビジネスホテルが激増しており、価格競争が激しくなっています。また、為替相場の推移についても注視する必要があるでしょう。
しかし、ホテル供給は全体的に増えていますが、ビジネスホテルが大半であり、日本においてはラグジュアリーやライフスタイル型のホテルが不足していると考えています。そのためその点にポテンシャルはまだまだあると考えています。」
アジアと欧州双方からの集客が強みに
同氏に他の競合との差別化をどのように進めていくか、その戦略と差別化について聞いた。
「アコーは、エコノミー、ミッドスケールブランド中心に10年前ぐらいまで展開していましたが、最近買収などもありラグジュアリーブランドを強化しています。
多様なブランドを活かしながら、アジアとヨーロッパの強みをもっているブランドとして違いを出していきたいと考えています。
アコーには、ラッフルズやフェアモントなど世界的に認知度の高いブランドがあります。
さらに、ロイヤリティの組織「Le Club AccorHotels(ルクラブアコーホテルズ)」として、全世界で約4,300万人、アジアパシフィックで約1,683万人のメンバーを有しています。
こうしたアジアと欧州双方からの集客力については大きな強みとなると考えています。」
フランス・パリを本拠とするアコーだが、2019年ラグビーワールドカップ日本の次の開催国はフランスであり、2020年東京五輪の次の開催地はパリとなっており、日仏の交流を高めるイベントは今後も次々と予定されている。日本とフランス、アジアと欧州をまたいで展開する同社の強みが発揮される好機が広がっていると言えそうだ。
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