サイトアイコン HotelBank (ホテルバンク)

札幌市の空路便の推移にみる外国人宿泊者数の動向

2017年度(2017年4月〜2018年3月)の札幌市における外国人宿泊者数が6年連続で過去最多を更新。2017年度の宿泊者数は約257万2千人で、前年度比で22.8%の増加を記録した。札幌の空路状況の変化と外国人宿泊者数の動向についてレポートしたい。

 
札幌の国籍別外国人宿泊者は中国1位、僅差で韓国2位
全国的な統計と同じく札幌への訪問は中国が1位。しかしながら2位とは年間で約48,000人と微差に留まっている。この2位(2016年度は3位)が韓国であり、前年度比の増加率では中国の約2倍近くの41.8%となり、中国に迫っている。
 

出典:札幌市

ビザ緩和により増加している東南アジアとは異なり、ビザ緩和が要因で韓国からの宿泊者が増えたわけではない。
要因としては、韓国から新千歳空港への直行便の増加が影響している模様だ。各国からの直行便の就航状況について次のグラフを見てみよう。
 
国別の座席供給数、アジアのシェアが9割超

出典:新千歳空港の各航空会社の便数と座席数よりホテルバンクが独自に調査

 
上記グラフで見るとアジアからの就航が9割を超え、特に中国、韓国、台湾、香港の東アジアからの就航が8割を超える結果となっている。
札幌市の外国人宿泊者数との違いとしては、宿泊者数1位の中国は韓国、台湾に続く3位となり、宿泊者数2位の韓国がダントツで1位となっていることである。
続いて、各国の都市別の就航先別の座席供給数を見てみよう。
 
就航地別の座席供給数ではソウルが圧倒的1位

出典:ホテルバンク

上記のグラフより座席供給数別ではソウルが2位の台北の約2倍に相当する約26,500席が往復で運行されており、新千歳空港に就航している座席の約3割を占める。
韓国は6位に釜山が入ったものの絶対数からすると、首都ソウルからの入り込みが大半を占めていることがわかる。
中国からの就航が宿泊者数の割に少ない理由は、北海道への直行便ではなく、大阪や東京便で来日して北海道に移動する人の割合が大きいことを示している。
次に国際線・韓国線の座席供給数の推移と今後の新規就航予定を見てみよう。
 
新規就航、韓国3社、中国3社、フィリピンも

出典:ホテルバンク

 
上記のグラフの通り、新千歳空港の座席供給数の推移については、2011年以降国際線の増便による増加傾向が続いている。韓国からの就航が増加しているのも2011年以降で特に2015年の就航ラッシュが影響した模様で、韓国便の就航増・座席供給数の増加は国際線全体の増加に大きく影響を与えている。
就航路線の増加は宿泊者数の増加を意味することから、今後新規就航が予定されている国や都市からの外国人宿泊者数は伸長することがあらかじめ予測できる。
新千歳空港の今後の新規就航路線はについては、現在予定されているだけでも以下の新規就航・増便がある(座席数などは未定)。
・韓国線
ソウル行きで3社
・中国線
大連、杭州、西安行きでそれぞれ1社ずつ(計3社)
・フィリピン線
マニラ行きで1社
 
韓国線については、ソウル行きが3社増便されるため、さらなる増加が見込まれる。また、中国からは大連、杭州、西安の各都市からの増加が見込まれている。
特に中国やフィリピンからの渡航者は、韓国に比べて、1室あたり複数名利用の宿泊や比較的長期の滞在が期待できることから、民泊や簡易宿所の需要も伸びそうだ。
北海道を訪れる外国人旅行者は空路の他に、クルーズ船での海路や新幹線利用の陸路も存在するが、直前まで数が変動しやすい海路や陸路に比べて空路については新規就航予定に基づき、あらかじめ増減を把握・予測することがより容易である。
以上のような分析を通じ、それに応じて宿泊施設としても特定の国や都市からの訪日需要の獲得に向けてターゲット化した対策を講じやすいと言えるだろう。
 
【関連記事】
2017年度札幌市観光客1,527万人、前年度比10%増
活況を呈している北海道・札幌市のホテル開発――その背景にあるものとは
旭川市ホテル宿泊事情〜北海道のホテル事情①
ニトリが小樽の老舗高級旅館を取得
 

モバイルバージョンを終了