地域情報をウェブで発信する「タイムアウト東京」(東京都渋谷区)などはこのほど、外国人を対象にしたナイトライフに関する調査結果を明らかにした。「ナイトライフの充実度」では1位が東京で、2位のニューヨーク(米国)に大差をつけた調査結果が判明した。
眠らない街に日本が選ばれる実態
調査は東京の夜間時における経済の動向を外国人の声を通して把握し、改善につなげていくことが目的。タイムアウト東京の英語版サイトで調査を行い、228人が回答した。「ナイトライフが最も充実している都市」の質問項目では、東京が92票でトップになった。
トップ5内に同一国・地域の都市が入っているのは日本だけだ。2017年のインバウンド(訪日外国人)が、5年連続で過去最高を更新する2,869万人となり、今回の調査結果でも、世界の日本に対する関心度の高さが浮き彫りになった。
日本がトップになった主な理由はさまざまあるが、「アクティビティーを選択できる観光スタイルの多様性」、「サービスの充実度」などの回答が多かった。また、「深夜でも女性同士で出歩くことができる治安の良さ」は日本だからこその強みであるだろう。
一方、懸念されているのはアクティビティを取り巻く交通機関や各所の営業時間、料金などの問題である。
【東京で不満に思うこと(主な回答)】
・「タクシー料金が高い」
・「終電で帰るか、朝まで過ごせる場所を探すのがめんどう」
・「東京は眠らない都市だが、交通機関が24時間営業していない」
・「クレジットカードを利用できる店が少ない」
・「コンビニの手続きなどの支払い方法が複雑」
関心が上がる日本、どこまでの要求に応えられるのか
上記の改善策として、「交通機関の24時間化」の要望が最多だった。また、高額な夜間のタクシー代に対する意見も出ている。
そして、日本は「おもてなし」を文化としている一方、スタッフの対応についての不満や、案内標識や飲食店などで多言語対応の低さを指摘する声もあった。
2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、政府では年間4,000万人のインバウンドを目標にしている。ホスピタリティーを充実させた受け入れ体制の整備が、さらなるインバウンド増に欠かせない要素になる。
ナイトライフの活性化を検討している自民党の「時間市場創出推進議員連盟」は、日本の夜間経済には5兆円もの効果が見込めると考えている。もちろん、治安の悪化や働き手不足など問題は様々だが、国としてこのような方向性が強まることは、宿泊施設のあり方にも影響が出てくることは十分に考えれられるのではないだろうか。
「眠らない街」、「眠らないホテル」のこれからに注目が集まる。