株式会社HAGI STUDIOの運営する宿泊施設「hanare」が、この度2018年度グッドデザイン賞100選に選出された。東京下町・台東区谷中の地域一体型のホテルが星野リゾートのOMO5東京大塚と並んでベスト100入りを果たした。
出典:HAGI STUDIO
あなた次第でまちはホテルになる
株式会社HAGI STUDIOの運営する宿泊施設「hanare」(2015年11月開業)が、この度2018年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)100選に選出。
hanareは東京・谷中のホテルだが単に一つの建物に完結したホテルではなく、まち全体を一つの大きなホテルに見立てることで地域と一体になったホテルであることが特徴。
ホテルのレセプションは最小文化複合施設「HAGISO」の2Fにある。宿泊室はまちの中。大浴場はまちの銭湯。ホテル自慢のレストランはまちの美味しい飲食店。お土産屋さんは商店街や路地に店を構える雑貨屋さん。文化体験はまちのお稽古教室やお寺で。レンタサイクルは自転車屋さんで借りることができる。
「あなた次第でまちはホテルになる、the whole town can be your hotel」がコンセプトだ。
審査員の評価コメント:まち全体を一つの大きなホテルに見立てることで地域と一体になった宿泊施設をめざした、という言葉の通り、施設自体の物理的な大きさではなく街との繋がりの度合いによってホテル自体の意識的な大きさは変容し続ける。様々な街の要素と繋がることで多様な体験を提供することができる。街とともに成長していくホテルである。このマチヤドの考え方は全国に広がりつつあるが、間違いなくこのハナレがその好事例として他の試みに大きな影響を与えている。
客室数:5
住所:東京都台東区谷中3-9-3
国際色豊かな宿泊客に季節の和食とまちなか散策が大好評
メトロエンジンリサーチによる、各種OTAサイトへの口コミ投稿を基にしたレビュー分析によると、同ホテルの宿泊客は以下の口コミ数のグラフの通り極めて国際色が豊かであることがわかる。
口コミ投稿数各国別
出典:メトロエンジンリサーチ
口コミ数トップはフランスの27件、英国は20件、ドイツ16件と欧州からの投稿が多く、韓国20件、中国13件など東アジアからの投稿も目立つ。他方で、日本からの投稿は16件とホームながら投稿数の割合の少なさは異例のものであり、宿泊客の多様さを示すものと言えるだろう。
同ホテルの評価は総じて高く、特に四季ごとに地域をわけ、食材で日本を巡るという和食で提供される「旅する朝ごはん」や同ホテルの近所、周辺エリア探索への評価が極めて高くなっている。
出典:hanare
このことから、和食や周辺の銭湯のチケット特典など日本を体験する「まちなか」をプロモートする取り組みが日本を体験したい外国人宿泊客に高い評価を得ていることがわかった。
同ホテルは、チェックインの際にhanareオリジナルマップを配布。オリジナルマップはday版とnight版で構成され、day版には朝〜昼の散策に役立つ情報。night版には夕〜夜に役立つ情報が載っている。
ホテルの魅力を歴史情緒あふれる東京の下町のまち全体に求めた点が独創的であり、東京を訪れる外国人を中心に高い評価を集めている。
オリジナルマップ
出典:hanare