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【2025年02月最新】東京23区のビジネスホテルを徹底分析!変わる宿泊需要と進化する都市型ホテル

東京23区のビジネスホテルの分布

前回の記事「【2025年02月最新】都市機能と観光が融合!東京23区の新規開業施設」では、東京23区の中でも特に新規開業施設が集中している「港区・台東区・中央区」にフォーカスした。本記事では、これら3区におけるビジネスホテルの分布状況を分析し、エリアごとの特徴を解説する。

メトロエンジンリサーチによると、東京23区「港区・台東区・中央区」のビジネスホテルの分布状況は以下の通り。

港区

港区は、国際的なビジネスの拠点として、多様な宿泊需要が生まれているエリアだ。六本木や赤坂エリアでは、外資系企業やメディア関連のオフィスが集まり、長期滞在向けのビジネスホテル需要が高い。浜松町や田町周辺は、羽田空港へのアクセスが優れていることから、国内外の出張者にとって利便性の高い宿泊拠点となっている。また、品川駅周辺は新幹線の発着地として多くのビジネス利用者が訪れるため、宿泊特化型のホテルや、短期滞在向けの施設が充実している傾向がある。

出典:メトロエンジンリサーチ

台東区

台東区は、観光と商業が共存するエリアだ。特に上野や浅草周辺に宿泊施設が多数立地しており、中でも、上野駅周辺は、東北・北陸方面とのアクセスが良好で、長距離移動を伴うビジネスパーソンの利用が多い。浅草エリアでは観光ホテルが目立つものの、近年はコンパクトで利便性の高いビジネスホテルも増えてきており、国内外の出張客に適した滞在環境が整いつつある。特に蔵前エリアは、新しいビジネスホテルの開業が相次ぎ、ビジネス・観光両面での注目度が上がっている。

出典:メトロエンジンリサーチ

中央区

中央区は、日本の金融・商業の中心地として発展しており、特に日本橋や銀座、築地エリアは、ビジネスパーソンの宿泊需要が高い。東京駅周辺には全国各地からの出張客向けに高機能なビジネスホテルが集中しており、効率的な滞在を求める利用者が多く見受けられる。一方で、八丁堀や茅場町といったエリアは、比較的リーズナブルな宿泊施設も増えており、コストを重視するビジネス層に支持されているようだ。

出典:メトロエンジンリサーチ

東京23区のビジネスホテル、施設数の推移

港区

港区のビジネスホテル施設数は、2019年初頭から2020年初頭にかけて急増しており、訪日外国人観光客の増加とともに、ビジネス需要の高まりが影響したと考えられる。一方で、2020年以降は施設数が横ばいになり、2021年にはやや減少傾向が見られ、パンデミックによるインバウンド需要の低下が影響した可能性は否めないだろう。

2022年初頭には一時的な減少が見られるが、その後は持ち直し、2023年以降は安定した推移を示している。特に2024年以降は微増傾向にあり、新たな宿泊需要や市場の回復が反映されたと考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ

台東区

台東区のビジネスホテル施設数は、2019年から2025年にかけて安定した増加傾向だ。2019年から2020年にかけては緩やかに増加し、その後2020年半ばには大きく増加。この時期は、訪日観光客の増加とともに、浅草や上野エリアを中心に宿泊需要が高まったことが影響したと考えられる。

2021年から2022年にかけては一時的な横ばいや小幅な減少が見られるものの、全体的な施設数は安定して推移。その後、2023年以降は再び増加傾向が顕著になり、特に2024年から2025年にかけて急速に伸びており、インバウンド需要の回復に加え、つくばエクスプレス沿線や蔵前エリアなどの新規開発が影響している可能性が考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ

中央区

中央区のビジネスホテル施設数は、2020年初頭から2021年にかけて急増。特に2020年の前半は大きく増加しており、東京駅や銀座、日本橋エリアを中心とした宿泊需要の高まりが考えられる。一方で、2021年半ばには一時的な減少が見られ、コロナ禍による一部ホテルの閉業や稼働停止が影響した可能性がある。

2022年以降は安定した推移をみせており、2023年から2024年にかけては、緩やかな回復傾向が続いている。特に銀座・築地エリアでは、ビジネスパーソンだけでなく観光客の利用も増えており、市場の回復が施設数の維持・増加に寄与していると考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ

東京23区のビジネスホテル、部屋数の推移

港区

港区のビジネスホテルの部屋数は、2019年から2020年にかけて急増。2021年初頭にはピークを迎えている。この傾向は、新規開業ホテル、インバウンド需要の高まりによる大型ホテルの供給増が要因と考えられる。一方で、2021年半ばから2022年にかけて部屋数が減少しており、一部ホテルの閉鎖や、稼働率の低下に伴う運営規模の縮小が影響した可能性が考えられる。

2022年以降は一時的に横ばいとなるが、2023年には再び増加傾向。その後は安定した推移を見せており、2024年以降は微増傾向が続いており、需要回復を見越したホテルのリニューアルや、稼働率の安定による新規供給の影響が考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ

台東区

台東区のビジネスホテルの部屋数は、2019年から緩やかに増加し、2020年半ばには一時的な停滞が見られた。その後、2020年末から2021年初頭にかけて大幅に増加。この時期に新規開業したホテルや、規模拡張を行った施設が多かったと考えられる。その後、2021年から2022年にかけては増減を繰り返しながらも、全体としては安定した推移を見せている。

2023年以降は再び増加傾向に入り、特に2024年以降は大きく増加。訪日観光客の回復とともに、上野・浅草エリアの宿泊需要が高まったことが影響している可能性が考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ

中央区

中央区のビジネスホテルの部屋数は、2019年から2021年初頭にかけて大幅に増加。特に2020年は急激な増加を見せており、この時期に新規開業したホテルが多かったと考えられる。しかし、2021年半ば以降は一時的な減少が見られ、コロナ禍による宿泊需要の低下や、稼働率の調整による影響の可能性が推察できる。

2022年から2023年にかけては小幅な増減を繰り返しながらも安定した推移を示し、2024年以降は再び増加傾向となっており、訪日外国人観光客の回復や、東京駅周辺のビジネス需要の安定化が背景にあると考えられる。

出典:メトロエンジンリサーチ

東京都のビジネスホテル、稼働率の推移

回復基調で推移、全国平均を上回る高水準を維持

東京都のビジネスホテルの稼働率の推移を全国平均と比較すると、以下のような特徴が見られる。

出典:メトロエンジンリサーチ

東京都のビジネスホテルの稼働率は、全国平均とほぼ同じ動きを示しながらも、全国平均と比較しても高い水準を維持している。2020年初頭には新型コロナウイルスの影響で急落、一時は稼働率が20%まで低下したが、その後は国内需要や旅行需要全体の回復とともに徐々に持ち直し、2021年以降は安定した推移を見せている。

2022年以降は全国平均とほぼ同調しながらも、東京都の稼働率がやや上回る傾向が強まった。特に2023年以降は全国平均との差が広がり、インバウンド需要の回復や都内の出張需要の増加が影響していると考えられる。

2024年に入っても東京都のビジネスホテルは高い稼働率を維持。全国平均と並行しながらも、観光・ビジネスの両面での宿泊需要を背景に引き続き堅調な推移を示している。

考察

東京都のビジネスホテル市場は、全国平均と同様の動きを示しながらも、やや高い水準で推移する傾向が見られた。この背景には、東京が国内外の出張需要を一手に担うビジネス都市であり、国際会議や展示会、企業活動の中心地として機能していることがあると考えられる。

また、2023年以降は全国平均との差が顕著になっており、これはインバウンド市場の回復が都内のホテル需要を押し上げていることを示している。特に、羽田空港の国際線利用者の増加や、大規模イベントの開催が稼働率の上昇に寄与していると考えられる。

一方で、東京都のビジネスホテル市場は季節変動が比較的小さいものの、長期的にはビジネス出張の在り方の変化や、リモートワークの普及による宿泊需要の変動が影響する可能性があるため、引き続き動向を見守りたい。

東京都のビジネスホテル市場の今後の展望

東京都のビジネスホテル市場は、引き続き全国平均を上回る水準で推移することが予想される。特に、国際的なイベントや観光施策の強化により、インバウンド需要のさらなる増加が期待される。また、国内外の企業活動の活発化に伴い、ビジネス需要も引き続き安定する見込みだ。

今後の課題としては、出張スタイルの変化に対応した宿泊プランの提供が挙げられている。リモートワークの一般化によるワーケーション需要への対応、デジタルノマドへのアプローチなど、様々な方策が検討されていることだろう。

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