2015年6月に箱根の人気スポットとして知らせる大涌谷で噴火が発生し、一時は、大涌谷園地周辺に立ち入り規制がかけられた。
大涌谷の噴火は、当時メディアでも盛んに取り上げられた結果、ホテルのキャンセルが相次ぎ箱根を訪れる観光客が激減するなど厳しい状況に追い込まれた。
あれから2年たった今、立ち入り制限がかけれていたエリアは一部除き規制解除となり、箱根ロープウェーも全線運行を開始するなど箱根は復活を遂げている。その一方で箱根のホテルで起きている新たな問題に迫った。
大涌谷噴火の影響で100万人の宿泊客が減少
2015年6月に箱根の大涌谷で発生した噴火が多数のメディアで報じられたことで、箱根のホテル業界は大打撃を受けた。平成28年観光客実態調査報告書によると、箱根の宿泊客は2014年まで例年約460万人ほどの宿泊客数であったが噴火のあった2015年に前年の約100万人減となる約360万人まで落ち込んだ(表1)。
大涌谷の噴火で大打撃を受けた箱根であったが、火山ガスの濃度低下や避難体制の整備などにより2016年7月に火口付近の立ち入り規制も一部解除となり、箱根ロープウェイも全線で再開。
火山活動の鎮静化に伴い厳しい状態にあった箱根も復活を遂げ2016年は60万人増となる約430万人まで数を戻した。完全復活とまではいかないものの箱根は着実にその姿を取り戻しつつある。
日本を代表する温泉地・箱根町で起こる深刻な問題
まずは表2に目を向けてもらいたい。メトロエンジンリサーチによると、神奈川県内で最も宿泊施設数が多いのは箱根町だった。宿泊施設数は神奈川県ダントツのトップで全国でもトップ5に当たる、328施設がある。
その一方で客室数はというと、7,985部屋と大阪府で3番目に施設の多い淀川区(57施設)に同等の数である。つまり、平均すると1施設あたりの客室数は20数部屋となり、箱根町の宿泊需要を下支えしているのは、小規模のホテルや旅館、民宿だと考えることができる。
実際、箱根町には客室数が200を超える宿泊施設はわずか2施設、100を超えるものに広げてみても17施設しかない。箱根町全体の宿泊施設は328施設あるが、実に300施設以上が客室数100に満たない宿泊施設というわけである。こうした小規模な宿泊施設、とりわけ家族経営のような宿泊施設に起こりがちな問題は人手不足である。
出典:メトロエンジンリサーチ
大涌谷の噴火で宿泊客が減少した2015年は、ホテルで相次いだ宿泊キャンセルにより、一部の宿泊施設ではリストラなどが行われたという。
ところが、翌年にはまた60万人を超える宿泊客が戻ってきたため、現在、深刻な人手不足に陥っている箱根町の宿泊施設は数多く、客室に空きがあるのに予約を断らなければならなかったり、サービスの一部を見直さざるを得ないなどの新しい問題が起きている。
町は、観光客数2,000万人の回復に向けてオール箱根での観光地経営を進めており、一つ一つ課題をクリアしながら新しい箱根ブランドの磨き上げが必要になっていると言えそうだ。