大阪市のシティーホテル、分布状況
メトロエンジンリサーチによると、大阪市のシティーホテルの分布状況は以下の通り。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロエンジンリサーチ
メトロエンジンリサーチによると、大阪市のシティーホテルはビジネス・観光の主要拠点に沿った分布が顕著。地図からも明らかなように、梅田・難波・心斎橋・天王寺といった主要駅周辺に施設が集中しており、大阪駅(梅田エリア)を中心とした北区、ミナミエリアの中央区・浪速区、南エリアの阿倍野区などがその代表例だ。
これらのエリアは、鉄道や地下鉄の結節点であると同時に、商業施設や観光スポットも多く集積するため、出張や観光のどちらのニーズにも応えやすい立地が評価されている。
一方で、大阪ベイエリア(此花区・港区)など、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに代表される観光地周辺にもホテルの分布が見られ、ファミリー層やインバウンド旅行者の宿泊ニーズを反映していることがうかがえる。
また、今里筋線沿線や生野区・東成区などのエリアにも点在するホテルがあり、多様な滞在スタイルに対応する宿泊需要の広がりも読み取れる。
大阪市のシティーホテル、施設数の推移
観光需要の回復とともに施設数は上昇傾向、市場の注目度が一層高まる
大阪市におけるシティーホテル・施設数の推移には以下の傾向が見られた。
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪市におけるシティーホテルの施設数は、2020年初頭の約64軒から徐々に増加傾向を見せ、2025年1月時点ではおよそ71軒に達した。一時的な横ばいや減少も見られたが、全体としては新型コロナウイルスによる影響からの回復とともに施設数が増加に転じており、特に2023年以降は顕著な上昇が確認されている。
この背景には、訪日外国人旅行者の回復や大型イベントの再開、市内各所での再開発事業の進展などが影響していると考えられる。また、既存ホテルのリブランドや新ブランドの進出も目立っており、大阪市の都市型ホテル市場に対する投資意欲の高まりもうかがえる。
考察
大阪市のシティーホテル市場は、観光・ビジネス両面の需要回復を背景に、堅調な成長軌道にあるといえる。特に、ミナミや梅田を中心とした商業エリアに加え、ベイエリアや再開発が進む周辺地域でも新規開業の動きが活発化している。
2025年以降も、インバウンド需要のさらなる拡大や、万博・IRといった大型プロジェクトによる波及効果が見込まれる中、大阪市のシティホテル市場は引き続き高い注目を集め、施設数の増加傾向は継続する可能性が高いだろう。
大阪市のシティーホテル、部屋数の推移
大型ホテルの再始動と新規開業が後押し、部屋数は増加基調に
大阪市におけるシティーホテル・部屋数の推移には以下の傾向が見られた。
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪市におけるシティーホテルの部屋数は、2020年初頭に約17,000室でスタートし、その後は一時的な減少や停滞を挟みつつも、2025年1月には約20,000室に達するなど、全体として安定した増加基調を示している。
特に2022年以降は、インバウンド回復や大型再開発の進展により、新規開業や再稼働する施設の動きが活発化し、部屋数の増加を後押ししている。また、2023年から2024年にかけての急激な上昇は、コロナ禍を経て休業していた大型ホテルの再開や、宿泊特化型の高層ホテルの供給による影響が大きいと考えられる。
こうした動きは、前章で述べた施設数の増加と連動しており、大阪市全体としてシティホテル市場の再活性化が本格化していることを示しているのではないだろうか。
考察
大阪市のシティーホテル市場は、インバウンド需要の回復と都市再開発の影響を背景に、部屋数ベースでも着実な成長を遂げているといえる。特に、梅田・なんば・天王寺といったターミナルエリアでは、大型複合施設内のホテル開業が相次ぎ、観光・ビジネス両方のニーズに対応した宿泊インフラの整備が進行中。
今後は、間近に迫った2025年の大阪・関西万博やIR開業などを見据えたさらなる供給拡大が想定されており、それに伴う競争環境の変化や高付加価値化の動向にも注目が集まるだろう。
大阪市のシティーホテル、稼働率の推移
観光・ビジネス需要の回復で堅調推移、全国平均と高水準で並走
大阪市のシティーホテルの稼働率の推移を全国平均と比較して分析すると、以下のような傾向が見られた。
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪市におけるシティーホテルの稼働率は、全国平均と概ね同様の動きを見せつつも、都市型ホテルならではの安定性が特徴的だ。
コロナ禍による2020年の急落を経て、2021年以降は緩やかに持ち直し、2022年から2023年にかけては回復が本格化。特に2023年後半以降は、70%を超える月が続くなど、全国平均と同等もしくはそれを上回る稼働率を記録する時期が増えている。
この背景には、訪日外国人旅行者の回復に加え、出張・会議需要の再開、大型コンサートやイベント開催といった都市特有の多様な集客要因が挙げられる。また、心斎橋や梅田などの繁華街における観光需要と、天王寺や弁天町といった再開発エリアでのビジネス需要が重層的に存在する点も、大阪市ならではの強みといえるだろう。
考察
大阪市のシティーホテルは、観光都市でありながらビジネス都市でもあるという二面性を持つことから、稼働率においても季節要因に左右されにくい安定した推移を見せている。また、梅田・なんば・天王寺といった主要エリアがそれぞれ異なる客層を惹きつけている点も、稼働率を支える要因となっているのではないだろうか。
さらに、近年は外資系ブランドホテルやラグジュアリー系の新規開業も相次いでおり、高価格帯セグメントにおける需要の取り込みも進んでおり、平均客室単価(ADR)の上昇とともに、高稼働を維持しつつ収益性の高い市場構造が形成されつつあることがうかがえる。
大阪市のシティホテル市場の今後の展望
今後も大阪市のシティーホテル市場は、インバウンド需要の回復と国内ビジネス需要の両輪に支えられ、安定的な稼働を維持することが期待されている。特に、まもなく開幕する、2025年の大阪・関西万博をはじめとする大型イベントや、IR(統合型リゾート)開業に向けた需要拡大は、さらなる稼働率の押し上げ要因となるだろう。
一方で、宿泊施設の供給拡大が続く中、差別化のためのブランディングや、長期滞在・ワーケーションといった新しい滞在ニーズへの対応が今後のカギを握ることも事実だが、大阪市のシティーホテル市場は、都市としての多様な魅力を活かしながら、持続的な成長フェーズに入っていくと考えられている。
関連記事
- 【2025年02月最新】東京23区のビジネスホテルを徹底分析!変わる宿泊需要と進化する都市型ホテル
- 【2025年01月最新】京都市の旅館を徹底分析!変わる京都の旅館、その実態とは?
- 神戸市のビジネスホテルを分析!2024年12月最新版
- ニセコエリアのリゾートホテルを分析!2024年11月最新版
- 名古屋のシティーホテル・デラックスホテルを分析!2024年10月最新版
- 沖縄・宮古島のリゾートホテルを分析!2024年9月最新版
- 横浜市のビジネスホテルを分析!2024年8月最新版
- 札幌市のビジネスホテルを分析!2024年7月最新版
- 東京都中央区のビジネスホテルを分析!2024年6月最新版
- 京都市のビジネスホテルを分析!2024年5月最新版
- 大阪市のビジネスホテルを分析!2024年4月最新版
- 函館市のビジネスホテルを分析!2024年3月最新版
- 神戸市のビジネスホテルを分析!2024年2月最新版
- 沖縄・宮古島のリゾートホテルを分析!2024年01月最新版!
- 札幌市のビジネスホテルを分析!2023年12月最新版
- 東京都・港区のビジネスホテルを分析!(2023年11月最新版)
- 京都市ビジネスホテル分析(2023.10最新版)
- 大阪府ビジネスホテル分析(2023.09最新版)
- 沖縄ビジネスホテル分析:那覇市の施設数・部屋数・稼働率推移(2023年8月最新版)