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佐野市の魅力を世界へ:インバウンド観光の新しい形、ローカルリビングツアー

(出典:NPO法人ZESDA

栃木県佐野市とその近郊で、新たに開始された「ローカルリビングツアー」は、インバウンド観光客に地方の魅力を伝えることを目的としている。2024年8月にスタートしたこのツアーは、増加し続ける外国人観光客に対し、東京や大阪、京都といった有名観光地に偏らず、地方にも足を運んでもらうための取り組みである。

日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、2023年には2,507万人、2024年には3,477万人に達すると予想されている。しかし、その多くが有名観光地に集中しており、「オーバーツーリズム」の問題も発生している。一方で、地方にはインバウンド客が訪れることは少なく、誘客が課題となっている。だが、観光客の中には、混雑した観光スポットを避け、自然や地方の文化を楽しむ旅に興味を持つ層も存在する。これを背景に、栃木県南部、特に佐野市を中心としたエリアで、この「ローカルリビングツアー」が企画された。

栃木県と言えば、日光東照宮や中禅寺湖がある日光が観光地として知られているが、県南部の地域は、東京から日光への途中経過地として見過ごされがちであった。この状況を打破しようと、栃木県南部の静かな街並みや地元の魅力を紹介し、観光客に新たな体験を提供することを目指している。ツアーはガイド付きで、地元の人々しか訪れない場所を巡り、カスタマイズされたアットホームな体験ができる。

(出典:NPO法人ZESDA

「ローカルリビングツアー」では、佐野市の特産品である佐野らーめん作りを体験できるコースや、地元の酒蔵での酒テースティングと和楽器演奏を楽しむプランなど、地元の文化や食を堪能できるさまざまなツアーが用意されている。例えば、佐野らーめん作りでは、青竹を使った麺打ちや、スープからトッピングまでの全過程を学ぶクラスが提供されている。また、地元の食材を使った料理教室や、伝統工芸品である「天明鋳物」の茶釜で抹茶をたてる茶道体験も含まれており、訪れる観光客に深い日本文化の理解を促している。

このツアーは、インバウンド観光が一過性のブームで終わらないよう、持続可能な観光ルートの構築を目指している。また、地方のアーティストや中小企業が海外市場へ進出するためのモニターの場としても利用できる計画が進行中である。ツアーの運営には、アメリカで34年間過ごしキャリアを積んだ竹田祐子氏が携わっており、彼女は日米間のリエゾン業務やグローカルビジネスの活動で培った知見を活かし、佐野市観光協会のメンバーとして企画運営にあたっている。この事業は、NPO法人ZESDAがプロデュースする「佐野プロジェクト」の一環として展開されており、地方企業の海外進出を支援する活動の一部として、栃木県佐野市でのインバウンド観光の振興に寄与している。

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