新型コロナウイルスの影響で宿泊客数が低迷する中、大分県由布市湯平温泉の旅館「山城屋」(代表:二宮謙児)は生き残りをかけて、大女将の味を再現したみその販売を開始した。
大女将の後藤幸子さん(80歳)は創業以来約50年、「秘伝」のみそを作り続け、さまざまな料理に合わせてきた。後藤さんが仕込んだみそは素朴な味わいで、「茄子の味噌田楽」「蛸の酢味噌がけ」「里芋の揚げ出し」など特製みそを使った料理目当ての客も多い。また、「みそを分けてほしい」という声も多かったという。
大女将の味を忠実に再現するため、九重町の製造業者に依頼。甘みと粘りがなかなか再現できず、後藤さんが首を縦に振るまでに約半年を要した。後藤さんは「50年間作り続けてきた秘伝の味。多くの人に食べてもらいたい」と語っている。
特製みそは「田楽みそ」「からし酢みそ」「にんにくみそ」の3種類。旅館のホームページから購入でき、各90グラムで580円(税抜き)、3個セット1740円(同)で販売する。また、 YouTubeチャンネル「大女将のオススメお料理」では特製みそを使った調理例を紹介している。
大分県由布市の湯平温泉は、新型コロナウイルスの影響に加え、昨年7月の豪雨で被害に遭い、その後から客足が途絶えている。「山城屋」の二宮代表は「大女将の手製みそは旅館の顔ともいえる自慢の味。コロナ禍の今は家で旅館の味を楽しんでいただき、コロナ収束後にはぜひ旅館にお越しいただきたい」と話している。今後は海外向けの販売にも意欲を示しており、「お客さんがまた来られるようになるまで、今できることを一生懸命やるしかない」と話している。
旅館「山城屋」:https://e-yamashiroya.jp