新型コロナウイルス感染症拡大の影響で働き方改革が進み、ここ半年でテレワークが幅広い職種で浸透した。ワーケーションクのプランを多数販売しているホテルや、テレワーク用に客室利用ができるプランを販売するホテルも多数ある。自宅で仕事ができる環境でない人向けに、感染リスクを減らしながら仕事ができると話題になる一方で、米連邦捜査局(FBI)はホテルのワイヤレスインターネット(Wi-Fi)を介しての情報漏洩のリスクを指摘している。
FBIは、これまで自宅でテレワークしてきた個人が、自宅からホテルへとテレワークの場が変化していると指摘。米国の多くの都市でも日本同様、昼間の時間帯の客室などを、静かで気が散らない環境で仕事をしたい人に向けて開放されてきた。集中しやすいホテルでの仕事は快適に感じるが、ホテルのWi-fiネットワーク上で機密情報にアクセスすることは、自宅のネットワークよりもセキュリティ上のリスクが高まるとFBIは警鐘している。Wi-Fiネットワークのセキュリティが強固でない場合があるためだ。
ハッカーはホテルを標的にして宿泊客の氏名やクレジットカード番号などの個人情報を入手する。ほとんどのホテルで宿泊客はホテルのWi-fiを管理・検証・監視することができない。そのため不特定多数の人が出入りできるホテルでは、ハッカーがホテルのWi-Fiネットワークと類似した名前の偽ネットワークを張り、ゲストがホテルと誤ってそのネットワークを利用し個人情報を入力するのを誘発することもあるようだ。
■個人情報が流出したら
映画やドラマでは、パソコンや携帯機器がハックされ個人情報が流出するとわかりやすいエラーが出たりすることが多いが、ほとんどの場合、個人情報が流出しても目に見えてわかる変化は起こらない。しかしFBIは、利用する電子機器に以下のような点が見られた場合はハッキングされた可能性があるとしている。
・見ようとしていたウェブサイトから自動的に別のサイトにリダイレクトされた
・カーソルが自動的に動き始めた
・携帯電話の動作が突如として遅くなった
・アプリが勝手に立ち上がった
・ポップアップ広告が増えた
・データ使用量が急激に増加した
・バッテリーの減りが普段より早くなった
・予期しない電話やメッセージ、Eメールなどを受けるようになった
このような動きが見られたり、ハッキングされた形跡がある場合、FBIは不審なメールなどを開かずに即座にデバイスのBluetoothやWi-Fiをオフするよう示している。その後で自身の企業のIT部門、もしくは第三者セキュリティ機関に相談し、米国インターネット犯罪苦情センターに報告するよう求めている。