8月24日。和歌山県の仁坂知事は記者会見を開き、宿泊施設に対し、県外からの宿泊予約の受付を自粛するよう要請した。
仁坂知事は会見で「県外からの予約は急速にキャンセルが出ている」と説明し、「この際、さらなる予約はやめてもらえませんか」と県内のホテル関係者に対し協力を呼び掛けた。
また、自粛をお願いするのは観光目的で県外から来る人であり、ビジネスなど出張で宿泊する客は断れないとも付け加えた。
新型コロナウイルスで県外からの宿泊は減少傾向にあるとはいえ、売上低迷にあえぐ宿泊施設に対し貴重な予約を断るよう要請するのは苦渋の決断だ。
県はこうした提言に踏み切った背景には、医療体制のひっ迫による病床不足がある。和歌山県の入院患者は23日時点で503名。病床使用率は90%を超えている。県は和歌山市の「東横INN JR和歌山駅東口」を借り上げ、9月1日からホテルでの宿泊療養を開始する予定だ。
さらに24日の会見で仁坂知事は、売り上げが減少している宿泊施設に対しての支援措置を検討しているとも発言した。しかし具体的な内容についての説明はなかった。
和歌山県では現在、GoToトラベルキャンペーンに代わる観光事業救済策として、県民による県内での宿泊に対し1泊最大1万円を割り引く「わかやまリフレッシュプラン2nd」を実施中だ。
感染拡大第5波の影響で複数の都道府県が独自の宿泊割引を停止しているが、「わかやまリフレッシュプラン2nd」はいまのところ中断の決定はない。それでも全国的に感染拡大が進みデルタ株が猛威を振るう現在、県民の旅行熱は冷えている。特にお盆以降、8月下旬の予約はまったく伸びない状況が続いているとホテル関係者は明かす。
宿泊施設に対する、早急の支援が求められている。