東京都は8月27日と28日の2日間、ホテルルートインGrand東京浅草橋(東京都台東区)で「宿泊療養施設等の感染症対策に向けた実証」を実施する。
現在、東京都は新型コロナウイルス感染症対策のひとつとして軽症者等の宿泊療養施設を運営しているが、ロボットを導入した本実証実験を通じ、対応スタッフの感染リスクや業務負担、宿泊療養者の精神的負担の軽減を目指す。
ホテルルートインGrand東京浅草橋は、都が運営する宿泊療養施設と同様の構造を持つとして今回の実証フィールドに選定された。実験には、シャープマーケティングジャパン株式会社やCYBERDYNE株式会社などが参画し、清掃ロボットや搬送ロボット、コミュニケーションロボット等多様なロボットを用いて、宿泊療養施設業務を非対面、非接触で行う。ロボットによる業務の一例としては、シャープのモバイル型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」による非対面・非接触での受付応対やAGV(自動搬送装置)を用いたリネン類搬送のシミュレーションなどが行われる。
今回の実証実験は、都が推進する先端テクノロジーショーケーシング事業「Tokyo Robot Collection」の一環として行われるものだが、実験が成功すれば、将来的には感染症流行下における安全なサービス提供につながるとして、一般的なホテルや福祉施設等への採用も見込まれる。
なお、ホテル業界へのロボットの進出はもちろん今回が初めてではない。2015年、ホテルスタッフの代わりにロボットが受付業務を行う「変なホテル ハウステンボス」が長崎県佐世保市ハウステンボスに世界初のロボットホテルとしてオープンした。
同ブランドは、H.I.S.ホテルホールディングス株式会社が進める「スマートホテルプロジェクト」のもとに開発され、現在では関東以西九州までの地域で18店舗を展開する。
同社がロボットを導入した当初の目的としては「人件費の削減」が大きな割合を占めていたが、奇しくも今回、新型コロナウイルス感染症が拡大したため、非対面、非接触というロボットを用いたサービスが再び脚光を浴びている。
近年では、小売店のおける商品陳列などを想定した遠隔操作ロボットが開発されるなど、宿泊事業に限らずロボット技術の進出が目覚ましい。感染症対策への効果が大きく期待できるが、同時に人手不足に悩む事業者にとっても朗報となりそうだ。
Tokyo Robot Collection公式サイト:http://www.tokyo-robottech.tokyo/