西表島で日本初の「エコツーリズムリゾート」を目指す星野リゾート西表島ホテルは、2024年4月にホテル内のレストランで出た生ごみの堆肥化を開始した。この取り組みは、島のパイン農家と協働し、島内で排出された生ごみを堆肥として再資源化するためのものである。このプロジェクトは、資源として島のパイン農家へ還元し、その堆肥で栽培されたピーチパインを宿泊者に振る舞うことで、循環型農業のサイクルを確立することを目指している。
西表島でのピーチパイン生産活動では、肥料の価格高騰が課題となっている。この課題に対応するため、パイン農家を中心とした循環型農業の推進が行われている。ホテルのレストランで出る生ごみを廃棄するのではなく堆肥化し、良質なピーチパインの肥料として活用することで、美味しいピーチパインの生産につながる循環を生み出すことができる。
西表島ホテルの敷地内には、2024年4月に堆肥舎が完成した。堆肥化は生ごみを主とした有機物を原料とし、枯れ葉やもみ殻を混ぜ合わせ、天然の微生物の力を利用した発酵により行われる。発酵により堆肥から水分が抜けてしまわないよう、ホテルスタッフが週2~3回、堆肥の温度確認や混ぜる作業を行い、適切に堆肥を管理している。
このプロジェクトは、島のパイン農家がスタートさせ、西表島ホテルも昨年から堆肥化のトライアルや島内における堆肥活用の全体構想の検討に参加しているものである。堆肥は2024年冬頃に完成し、島のパイン農家へ還元する予定である。ホテル内でつくられた堆肥を使い栽培されたピーチパインを、毎年開催している「春のピーチパイン祭り」で宿泊者に振る舞うことを目標としている。
「春のピーチパイン祭り」は、2021年から島のパイン農家と協働し、ピーチパインが最も美味しい収穫期に開催しているイベントである。このイベントでは、西表島の特産品であるピーチパインを実際に味わい、美味しさの秘密を島のパイン農家から直接学ぶことができる。西表島ホテルは、生ごみの再資源化だけでなく、観光資源としてのピーチパインの価値向上に貢献したいと考えている。