株式会社スーパーホテルは、「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに掲げ、国内で173店舗のホテルを運営している。1998年から独自のベンチャー支配人・副支配人採用プロジェクトを展開し、ホテル勤務経験の有無を問わず、パートナーと2人での応募により実際のホテル勤務を通じて経営を学び、将来的な起業を目指す人々を支援してきた。
日本では少子高齢化が進み、労働人口の減少が続いている。特にサービス業界では人材不足が顕著であり、外国人労働者の受け入れが不可欠な状況となっている。帝国データバンクの調査によると、2023年10月の正社員の人手不足割合は52.9%と依然として高い水準にあり、宿泊業も例外ではない。また、厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、2023年10月末時点で外国人労働者数は204万8675人と過去最高を更新しているが、宿泊業界における外国人労働者数はまだ十分とは言えない。
こうした状況を受け、スーパーホテルは海外人材の採用を強化している。同社のベンチャー支配人制度は、ホテル経営のノウハウを学びながら支配人を目指せる仕組みであり、海外人材にも門戸を開いている。同プロジェクトへの海外人材からの応募は急増しており、2024年1月末時点で海外人材の説明会応募数は前年比1.27倍、選考応募数は5倍に達しており、宿泊業界における人材不足の解決策として期待されている。2024年9月には1期生としてミャンマー出身の8名を受け入れ、各店舗での勤務を開始した。2025年2月10日からは2期生の受け入れを開始し、ミャンマー、ベトナム、中国など多国籍の人材が新たに参加する。
ベンチャー支配人制度では、一定の契約期間を設け、業務委託契約を結んだ上で、ホテル一棟を任され、支配人としてマネジメントを実践する。ベンチャー支配人は開業資金や経営ノウハウを得ることができ、スーパーホテルにとっても、ビジネスの戦力を確保できるため、双方にとって利益のある制度となっている。また、ホテル内にはバス、トイレ、キッチンを完備した居住スペースが用意されており、家賃や水道光熱費が不要であるため、支配人の生活コストを抑えることができる。
海外人材と日本人スタッフが互いに刺激を受けながら成長することも、この制度の特徴である。例えば、ミャンマー出身のMyat Noe Wai氏は、スーパーホテルPremier JR奈良駅で勤務し、「スタッフやビジネスパートナーと共に楽しく働ける職場環境を作りたい」と意欲を語っている。彼女は将来的に母国で「ホテル×病院」を設立し、医療支援を行うことを目指している。彼女の勤務態度について、受け入れ先の支配人は「ミャンマーの方は真面目で意欲が高く、日本人スタッフの良い見本となっている」と評価している。
また、スーパーホテル御堂筋線・江坂で勤務するMay Thazin Aung氏は、「ホテルで働くことが夢だった。スーパーホテルのプロジェクトはその夢を叶えるチャンスだと感じている」と語り、将来は自分のホテルを持つことを目標にしている。受け入れ先のベンチャー支配人は「グローバル人材との交流を通じて、お互いの文化や考え方を学び、成長できることを楽しみにしている」と期待を寄せている。
スーパーホテルでは、異なるバックグラウンドを持つ海外人材の活躍が、ホテルに新たな価値をもたらすと考えている。彼らは語学力や異文化理解力を活かし、インバウンド需要への対応力を強化するだけでなく、日本人スタッフにとっても異文化理解を深める機会となる。さらに、海外人材の加入は組織の活性化やイノベーションの促進にも繋がると期待されている。
今後、グローバル人材の重要性はさらに増していくと見られ、スーパーホテルは引き続き海外人材のベンチャー支配人を採用する方針である。彼らがスーパーホテルで成長し、日本と母国を繋ぐ架け橋となることが期待されている。
スーパーホテルは、「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに、健康でサステナブルなライフスタイルを提案するホテルとして国内に173店舗、海外に1店舗(ミャンマー)を展開している。環境保全の取り組みが評価され、ホテル業界で唯一「エコ・ファースト制度」に認定されており、地域活性化や次世代支援などのSDGs活動にも積極的に取り組んでいる。