リゾートトラスト株式会社は、「リゾートトラストグループ ネイチャーポジティブ宣言」を策定した。本宣言は、同社グループが生物多様性および自然資本の保護・回復に向けた指針を示すものである。
生物多様性の損失は、気候変動と並び人類が直面する最も深刻な危機の一つとされる。ネイチャーポジティブとは、この損失を抑え、自然環境を回復軌道に乗せることを目指した取り組みを意味する。2022年12月に国連主催で開催された「生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)」において、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、ここで「ネイチャーポジティブ」の方向性が示された。日本国内でも、対応する「生物多様性国家戦略 2023-2030」が2023年3月に閣議決定され、こうした取り組みが進められている。
同社グループの事業活動は、生物多様性や自然資本からの恩恵を受けると同時に、それらに影響を及ぼす可能性があるため、「生物多様性の保全」「CO2排出量の削減」「廃プラスチック・食品ロスの低減」を重要課題(マテリアリティ)として掲げている。「自然は気候変動と並ぶ中核的かつ戦略的なリスク管理の課題である」という意識を共有し、2024年6月には自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:TNFD)の提言に準拠した情報開示も実施している。
同社グループは、政府が掲げる2050年のビジョン「自然と共生する社会」の実現に向け、2030年の「ネイチャーポジティブ」を達成するため、以下の具体的な取り組みを進める方針である。ホテルやゴルフ場の建設においては行政や地元団体と協議し、環境アセスメントを徹底して周辺の自然環境との共生を図る。また、地域の自然を観光資源とするネイチャーツーリズムの推進、グリーンエネルギーの導入、生物多様性保全を意識した事業運営、資源循環の促進にも積極的に取り組む。さらに、地元食材を活用した地産地消や地域文化の体験を通じた地域貢献も目指している。また、サステナビリティ経営を重視し、社内外での情報開示、行政および他企業とのパートナーシップを通じて新たな価値創造に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献する考えである。
同社グループは「リゾートトラストグループ ネイチャーポジティブ宣言」のもと、ステークホルダーとの連携を強化し、自然と共生した未来を共に築くことを目指す。今後も自然や地域社会との共生を追求し、持続可能な社会の実現に貢献する方針である。なお、同社のサステナビリティ推進に関する基本的な考え方や具体的な取り組み、関連データは「サステナビリティサイト」にて公開している。
さらに、2024年10月には、経団連および経団連自然保護協会が提唱する「経団連生物多様性宣言・行動指針(改定版)」に賛同し、「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に参加した。このイニシアチブは、生物多様性保護のための行動指針を示すものであり、同社グループもこれに基づき、社会と共に持続可能な未来を目指す取り組みを進めていく考えである。