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167年の歴史を持つ旧旅館 松川屋 再生プロジェクト開始

佐賀市の町で167年の歴史を刻んだ旧松川屋旅館の建物を再活用し、新馬場通りを元気にしようとするプロジェクト、「松川屋再生プロジェクト」が始まった。「松川屋再生プロジェクト」では、DIY活動を中心にオンラインサロンや座禅会などのイベントを通して、松川屋の持つ歴史や物語を人々に伝えている。支援で得た資金で、DIYでは解決できない部分、約100畳の畳替えや電球の交換、電気工事などを行う予定だ。

松川屋の様子

「松川屋」は、佐賀市の中心市街地にある老舗旅館だ。歴史は古く、日本に黒船がきた1853年に創業。しかし10年程前に、女将が亡くなったことで空き家となった。

旅館松川屋は、多くの著名人が宿泊していたことで知られる。それだけでなく、各製薬会社が常宿にしたり、映画の撮影隊が長期宿泊していたそうだ。例えば、明治32年7月3には、文豪・森鷗外がここ松川屋に投泊したことを「小倉日記」の冒頭に記しているという。

「新馬場松川屋に投泊し、午餐す。午後市役所に至り、壮丁を検するを見る。此地河水を飲む。」(明治32年7月3日、小倉日記抄)

松川屋再生プロジェクトをたちあげたのは、佐賀市をエリアとするラジオ局「えびすFM」を運営している、池田眞由美氏だ。

池田氏が街中を通る度に気になっていた松川屋の建物、歴史を感じさせるこの建物に隠れたその歴史や物語を知り、実際に建物だけでなくその調度品も、愛情をかけて大事にされてきたことがわかる者ばかりだったそうだ。

そこで池田氏は、一級建築士や会社経営者、学生、情報発信の達人から地元の人々など次の時代を担う人たちで、松川屋再生プロジェクトを始めることにしたという。

松川屋再生プロジェクトは、「松川屋が新馬場通りの復興のシンボルとして、老若男女が集い、営みと交流がなされる場として、昭和の匂いを色濃く残しながら持続発展している」をビジョンとして掲げ、活動している。

新型コロナウイルスの影響も受けつつも、まずは企業の福利厚生施設として、個人のレンタルオフィスで貸し出すことで、維持費を捻出することになった。佐賀県からの補助で水回りを整えたが、松川屋は旅館だったことから畳替えするにも約100畳、照明だけでもかなりの数になる。その不足分を賄うために、クラウドファンディングも行っている。

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