旅館経営の「丸駒温泉株式会社(北海道千歳市)」は、8月30日付で札幌地方裁判所へ民事再生法の適用を申請したことが明らかになった。
同社は1915年(大正4年)の創業以来、「丸駒温泉旅館」を経営している。同施設は支笏湖の湖畔に位置し、客室数56室を有する老舗の温泉旅館。特に人気を集めてきたのが支笏湖を一望できる天然露天風呂で、湖の水面の高さによって深さが変動することで知られる。
同宿は全国的な知名度が高く、これまでに多くの著名人も訪れた。2019年12月期には年売上高約6億7500万円を計上した。
しかしながら、設備投資に伴う多額の借入金が資金繰りを逼迫。さらに新型コロナウイルス感染症の影響による客数の減少で、2020年12月期の年売上高は約4億9200万円にとどまり赤字決算を余儀なくされていた。
業況の回復が見通せないことから、民事再生での再建を目指すこととなった。2021年7月末時点の負債総額は、約8億3000万円。
なお、中小企業の再生支援を目的とするルネッサンスエイト投資事業有限責任組合との間で、同組合をスポンサーとする基本合意を締結した。営業はこれまで通り継続し、同組合の支援下で再建を目指す方針だという。