沿線全体を一つのホテルに見立てる「沿線まるごとホテル」事業を推進する沿線まるごと株式会社は、JR東日本グループのCVCによって設立されたJR東日本スタートアップ株式会社から、JR東日本ローカルスタートアップ合同会社を通じて出資を受けることとなった。
背景として、JR東日本グループは駅の魅力向上や駅周辺の価値提供に努めているが、地方の過疎化やコロナ禍による送客量の減少に頭を悩ませている。この中、地方創生事業を行っている株式会社さとゆめが「JR東日本スタートアッププログラム2020」に応募し、「沿線まるごとホテル」のアイディアが採用された。その後、JR東日本スタートアップ株式会社とともに、JR青梅線にて、沿線自治体や地域住民・事業者を巻き込んで、沿線に点在する空き家をホテル客室に改修し、新しサービス開発に取り組んできた。
2021年の2月から4月にかけて、このアイディアは実証実験として試され、その成功を受けて正式な事業化に移行することとなった。そして、その核となるのが、株式会社さとゆめとJR東日本が共同で設立した「沿線まるごと株式会社」である。
柴田裕氏、JR東日本ローカルスタートアップ合同会社の代表は、このプロジェクトを「地域の新しい魅力を再発見する旅」と評し、多くの人に体験してほしいとの意気込みを語っている。一方、嶋田俊平氏は「妄想」から始まったこのアイディアが現実的な事業として形を持つことができたことへの感謝を述べた。
「JR東日本スタートアッププログラム」とは、ベンチャー企業やクリエイターからのアイディアを募り、JRの資源を活用してビジネスやサービスを実現するプログラムである。これまでに111件の提案が採択され、幾つかは実用化にまで至っている。