株式会社トラストバンクの地域創生ラボは、地域や次世代に残したい「豊かさ」をテーマに調査・研究活動を行っており、2023年7月26日に「ふるさと納税の利用意向に関する緊急調査」の結果を発表した。対象は全国のふるさと納税経験者で、20歳以上の1,074名が参加した。
総務省は今年6月、ふるさと納税に関するルール改正を10月から実施すると発表した。この改正により、自治体は寄付額全体の50%以下に抑えることと、幅広く計上した経費を実態報告することが求められている。これは、地域に寄付される金額を確保するための措置である。
ルール改正により、自治体は経費の抑制を迫られる。その結果、寄付者に対する「モノ」のお礼の品の価格が上がり、または品質・分量が低下する可能性がある。一方で、送料がかかる「モノ」のお礼の品に対して、「コト」のお礼の品(体験チケットや宿泊券、商品券など)は送料がかからないため、還元率(寄付金額に対するお礼の品の価格の割合)に影響を及ぼしにくい。
トラストバンク地域創生ラボの緊急調査は、この夏の国内旅行の予定がある人々に対し、「新しいふるさと納税」がどの程度認知され、また、実際に利用したいと考えているかについて調査した。さらに、ふるさと納税のルール改正が寄付者にどのように受け止められているかも明らかにした。
調査結果では、今年の夏に国内旅行を予定しているふるさと納税経験者の60%以上が、旅先で利用できる新しいふるさと納税に関心を示した。具体的には、食事や土産などの支払いに使える電子ポイントや商品券を現地で使いたいと考える人が66.9%に上った。
また、ふるさと納税のルール改正が実施される10月以降、お礼の品をもらうための寄付額が上がったり、同じ寄付額でも内容量が減ったり品質が下がったりする可能性について尋ねたところ、還元率が下がってもふるさと納税を利用し続けたいと答えたのは60.0%だった。一方、体験型のふるさと納税のお礼の品に関心があると答えたのは55.2%であった。
今年は新型コロナウイルスの影響が薄れ、国内旅行の需要が回復傾向にある。その中で、今回のふるさと納税のルール改正があったことにより、現地での体験を含む「コト」のお礼の品が、観光需要の回復とともに注目されていることがわかる。