東京・秋葉原の外神田に、アパートメントホテル「Section L Akihabara(秋葉原)」が2026年2月1日に開業した。長期滞在型ホテルを手掛ける株式会社セクションLにとって千代田区初進出で、新築住宅を宿泊施設へ転用した点も特徴だ。
デザインコンセプトは「レトロゲーマー」。ロビーにレトロゲーム機を備え、ピクセルアート作品も配するなど、秋葉原が育んだゲームカルチャーを“泊まる体験”へ落とし込む。訪日客の中長期滞在が増え、旅の価値が「消費」から「体験・滞在」へ移る中、街の魅力を宿に取り込む試みとして注目される。
本記事では、ホテルの魅力やこだわりなどについて、運営を行う株式会社セクションLに取材した。
公式サイト:https://section-l.co/properties/section-l-akihabara/
―――今回が「初の千代田区進出」とのことですが、出店エリアとして外神田を選ばれた決め手を、差し支えない範囲で教えてください。
外神田を選んだ理由は、大きく3つあります。
まず、街の特性です。秋葉原の中でも外神田は、電気街の喧騒から少し距離があり、「暮らし」の気配が残るエリアです。世界的なポップカルチャーの聖地でありながら、御茶ノ水や湯島といった歴史ある文教地区にも隣接していて、そうした多層的な文脈に魅力を感じました。
次に、ターゲットとの相性です。私たちのゲストは平均5泊以上の長期滞在が中心です。秋葉原は主要路線が複数利用できる交通利便性があり、東京観光の「ベースキャンプ」として最適だと考えています。
最後に、物件条件です。千代田区は宿泊施設の競争が激しいエリアですが、その中でアパートメントホテルとして必要な「広さ」を確保できたことに加え、秋葉原のカルチャーをデザインに昇華できる、建築の匿名性(キャンバスとしての自由度)を兼ね備えていたことが決め手になりました。
―――デザインコンセプトを「レトロゲーマー」と定める際に、“秋葉原らしさ”を宿泊体験へ落とし込む上で、最も重視した要素は何でしょうか。
最も重視したのは、「色彩とマテリアルを通じたノスタルジー」です。
単にゲーム機を置くのではなく、80年代〜90年代の秋葉原の街を彩ったネオンサイン、タイムレスなキャラクターたち、当時の基板(ハードウェア)を彷彿とさせるインダストリアルな質感――そういった要素をロビーに取り入れました。
狙いとしては、ゲストがホテルに入った瞬間に、「どこか懐かしく、かつエキサイティングなデジタル・ワールド」へ没入できることです。看板のタイポグラフィや、ドット絵を想起させるグリッドデザインなども随所に散りばめ、体験として成立するように設計しています。
―――「宿泊すること自体がゲーム体験の延長」とありますが、ゲストが“ゲーム体験”を感じる具体的な導線をどのように設計されていますか。
導線としては、「到着〜ロビー」「客室」「街散策」の3つで体験を組み立てています。
まず到着〜ロビーは、ゲームで言う「セーブポイント」や「ロビー(待合室)」のような役割を担います。スタッフとの会話が、旅の「情報アップデート」になるような演出も意識しています。
次に客室は、「プレイヤーのプライベートルーム」です。家具の配置や照明のトーンを含め、日本での生活没入感(Immersion)が最大化されるよう、快適な長期滞在空間として設計しました。
そして街散策です。オリジナルのOne Day Mapを用意し、近隣の「City Gems(街の隠れた名店)」を巡る体験を提案しています。これはゲームで言うところの「サイドクエスト」に当たります。旅行の中で街歩きを重ね、土地勘が身についていく感覚は、いわば「レベルアップ」に近い体験です。そうした感覚を、滞在の中に自然に組み込みたいと考えています。
―――平均滞在日数5泊以上のゲストを主ターゲットとされていますが、想定しているゲスト像と、主な滞在目的/過ごし方のシーンを教えてください。
想定しているゲスト像は、海外から来る20〜30代のデジタルネイティブ層です。
具体的には、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパからのカップルや友人グループ。同行者は、アニメ・ゲーム・テックなど共通の趣味を持つ少人数グループを想定しています。
過ごし方のシーンとしては、たとえば――
昼は秋葉原でレアな基板やフィギュアを探す「宝探し」。
夜は客室のキッチンで作った料理を囲みながら、戦利品(買い物したもの)を眺めたり、ゲームをしたりする「リラックスした自宅体験」。
週末は秋葉原を起点に、浅草(歴史)や銀座(モダン)へ足を伸ばし、東京の違う表情も楽しむ「多面的な東京体験」。
こうした滞在をイメージしています。
―――開業にあたり、「Section L Akihabara」としてゲストに最も強く約束したい体験価値は何でしょうか。あわせて、秋葉原という街との関わり方について、現時点での考えを教えてください。
私たちが最も強く約束したいのは、「世界で最もエキサイティングな街で、自分らしくいられる“Home”」であることです。
Section Lの哲学である「Unscripted(台本のない)な交流」を通じて、スタッフや街の人々との偶然の出会いから生まれる、ガイドブックには載っていない思い出を提供したいと考えています。
また、秋葉原という街との関わり方については、秋葉原は変化の激しい街でありながら、その根底に「マニアックな専門性」を持つ個人店が支える強いコミュニティがあります。私たちは単なる宿泊施設ではなく、「City Gems(地域の宝石)」を外の世界へつなぐハブでありたいと考えています。
そのために、地元の飲食店やホビーショップと深く連携し、ゲストが街に「お金を落とし、文化をリスペクトする」循環をつくっていきます。
■施設概要
施設名:Section L Akihabara(秋葉原)
所在地:東京都千代田区外神田4-11-7
最寄り駅:東京メトロ銀座線「末広町駅」
客室数:全22室
開業日:2026年2月1日
公式サイト:https://section-l.co/properties/section-l-akihabara/
