株式会社スーパーホテルは、秋田大学大学院医学系研究科の上村佐知子准教授および株式会社ブレインスリープと共同で、ホテルに設置された天然温泉が睡眠に及ぼす効果についての検証を実施した。検証の結果、天然温泉に入浴することで深部体温の低下が促され、寝つきが良くなることが確認された。
スーパーホテルは「Natural, Organic, Smart」をコンセプトとし、地球にも人にも優しいホテル運営を行っている。宿泊するゲストにとって最も長く過ごすのが睡眠時間である一方、ホテルは自宅とは異なる環境であるため、音や光、温度、寝具の違いにより睡眠が浅くなる傾向がある。こうした課題に対応するため、スーパーホテルは「ぐっすり研究所」を設立し、睡眠に特化した取り組みを進めている。
今回の検証は、スーパーホテル内の天然温泉が睡眠に与える効果に関するものである。検証は2024年11月から12月にかけて、湯元「花乃井」スーパーホテル大阪天然温泉を実施会場とし、20~60代の男女計18名(男性7名、女性11名)を対象とした。参加者は「天然温泉条件(就寝前にホテル内の天然温泉に入浴)」、「部屋風呂条件(客室風呂に同条件で入浴)」、「朝シャワー条件(起床後にシャワー)」の3条件に、それぞれ3日間ずつ参加するクロスオーバー試験方式で検証が行われた。測定項目は脳波、活動量、深部体温、ならびにOSA睡眠調査票によるアンケート評価である。
本検証の結果は、天然温泉の入浴が睡眠の質向上に寄与することを示しており、スーパーホテルにおける睡眠環境の改善策としての有効性が確認された。まず脳波データにおいて、天然温泉条件での睡眠潜時が有意に短いことが確認され、天然温泉に入浴した方が早く寝ついたことが示された。次に起床時の自身の睡眠を評価する心理尺度であるOSA睡眠調査票を用いたアンケートによる主観データでは、5つの睡眠因子のうち、「起床時眠気」「入眠と睡眠維持」「疲労回復」「睡眠時間」の4項目において天然温泉条件が有意に高評価を示した。これにより、寝つきの良さ、睡眠の安定性、疲労回復感、十分な睡眠時間の確保が評価されたことが分かる。
さらに深部体温の測定では、最高温度と最低温度の差分が天然温泉条件において有意に大きく、効率的な体温低下が確認された。深部体温は日中に上昇し、夜間に低下する傾向があるが、入浴により一時的に体温が上昇すると、その後の低下が促され、入眠がしやすくなるとされる。
株式会社スーパーホテルは「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに、健康でサステナブルなライフスタイルを提案するホテルとして国内173店舗、海外1店舗(ミャンマー)を運営している。ITの活用による生産性向上と、高品質な接客・サービスによる顧客満足度の向上を両立させ、2024年は「J.D. パワー“ホテル宿泊客満足度10年連続 No.1<エコノミーホテル部門>”」と「JCSI (日本版顧客満足度指数)調査顧客満足度2年連続No.1」 をダブル受賞した。さらに、環境保全の取り組みを行っている業界をリードする環境先進企業を環境大臣が認定する「エコ・ファースト制度」では、ホテル業界で唯一認定を受けており、環境保全活動以外にも地域活性化や次世代支援などのSDGs推進活動に積極的に取り組んでいる。