西武ホールディングス(HD)はプリンスホテルなどの国内約30施設をシンガポール政府系投資ファンド「GIC」に売却する方針であることがわかった。売却額は1500億円規模となる見通し。売却後もホテルなどの運営は続けるとのこと。
資産効率を高めるために運営と資産保有を分離
西武HDは新型コロナウイルス感染症の影響により、鉄道やホテルの利用が低迷しており、2022年3月期の連結最終決算は140億円の赤字を見込んでいる。資金繰り改善のため、資産を圧縮する必要があり、2021年5月に発表した21～23年度の中期経営計画にてホテルやゴルフ場などの一部施設を売却する方針を示していた。
売却する施設は「ザ・プリンスパークタワー東京」「札幌プリンスホテル」「グランドプリンスホテル広島」などの十数軒のホテルにスキー場やゴルフ場などを加えた約30施設。当初は全体で40施設の売却を検討していたが、一部は保有を続ける。西武HDは「現時点で決定した事実はない」とコメントしている。
売却先のGICはシンガポール政府の金融資産を運用する投資ファンド。日本のホテルについて、コロナの影響により落ち込んでいるが、中長期で回復が見込めるとして、投資を決めたと見られる。世界の不動産価格が高騰する中、低金利で資金調達が可能な日本は、相対的に高い投資利回りが見込めることから、外資系ファンドの的になっている。