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激増する都心のホテル、新規開業のトレンドとは

東京都がオリンピックの開催地となり、ホテル数が急激に増加しているのは周知の通り。増加する訪日客で、依然として平均稼働率が80%に達し不足する都内のホテル事情だが、新規開業が激増しているホテル種別の傾向とはどのようなものだろうか。

急増する東京都のホテル開業
2007年から2017年までの東京都のホテル開業数は、年々右肩上がりに増加している。2013年9月に東京五輪の開催が決まり、特に直近の2015年以降は年間に100以上のホテルが開業する凄まじい勢いだ。
観光庁「宿泊旅行統計調査」のデータによると、東京都のホテルの定員稼働率は大阪府についで第位で80%に達している
一般的にホテル稼働率80%は実質的にはほとんど満室に近く宿泊予約が取りづらいとされていることから東京都のホテルの不足は依然として解消できておらず、そのニーズに伴ってホテル建設が増え続けているのも納得できるだろう。

種別開業数1位はビジネスホテル、次いでホステルが続く

出典:メトロエンジンリサーチ

上記のグラフの通り、種別の分析では直近10年において、ビジネスホテルが一貫してトップで開業している。特に2014年までのホテルの開業はビジネスホテルによって大半が占められていた。
他方で、2015年からはホステルが急激に増加しているのが目立つ。ホステルは、ドミトリーやゲストハウスなどのことで、「民泊」もこの種別に含まれており、このような形態の宿泊施設の開業が増えている。また、カプセルホテルの開業も2015年から増加傾向にあり、開業数に占めるビジネスホテルの割合はこれらにより相対的には減少し開業が多様化しているのがわかる。
ビジネスホテル、ホステル、カプセルホテルが大きく伸びる一方で、ラグジュアリーホテル(平均宿泊料金35,000円以上)は直近の10年間においてほとんど増加していない。この事実は、都心部において安価で経済的なホテルの開業が増加する傾向を示している。

訪日客の増加で経済的ホテルの開業は続く
観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、宿泊客に占める外国人比率は上昇傾向にあり、東京都に関しては25 %を上回り全国でトップとなっている。一般的に訪日客の多くがラグジュアリーホテルよりも経済的なホテルを選好していることがこの傾向に影響しているものと思われる。近年の訪日客の増加は、都内では2020年に開催される東京オリンピックに向けてさらに加速することが確実視されており、都心部の訪日客のホテル需要は高まる一方である。
もちろん、富裕層の訪日でラグジュアリーホテルへの需要も一定数増すであろうし、単価が高いため市場へのインパクトは決して小さいものではない。大切なのは多様なニーズに応えるべく高級志向なホテルから安価なホテルまで様々なホテルを提供することであるが、開業の絶対数ではより経済的なビジネスホテルやホステル、カプセルホテルなどがニーズを捉えて、増加する傾向が今後も続くと見られる。

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