株式会社三菱総合研究所(MRI)と株式会社 New Ordinaryは、東武鉄道株式会社の協力のもと、台東区・墨田区(浅草~押上エリア)を訪れる人々の行動機会創出を通じたウェルビーイング向上の実証実験を行った。
MRIは「actfulness」というコンセプトを提唱しており、これは行動機会の創出を通して、人々のウェルビーイングを向上させる考え方である。新型コロナウィルス感染症の状況の変化を受けて、実際の行動の価値が新たな形で再評価されている。この考え方を基に、MRIの効果測定モデルとNew Ordinaryが開発した観光アプリ「NOSPOT」を組み合わせ、AIによるおすすめ情報を活用して行動機会を増やし、その影響を分析したのである。
実証実験では、309名の参加者は「NOSPOT」の推薦する観光スポットを訪れて、その後の満足度を評価した。MRIはWB向上推定モデルの提供や参加者の募集を、New Ordinaryは「NOSPOT」の改良や提供を担当した。東武鉄道は、観光スポットの情報提供や実験の助言を行った。対象エリアは台東区・墨田区(浅草~押上エリア)で、実験期間は2023年7月28日から8月6日、および8月10日から8月20日までであった。
結果として、行動機会の創出は、ウェルビーイング(WB)スコアの平均で約10%の上昇をもたらしたことが示された。さらに、来街者の趣味や好みに合わせたおすすめの提供、感情マップを使った街の特徴の可視化、消費傾向の分析などが、新しい商業展開や施策の検討に役立つ可能性があることも明らかになった。
今後は、アプリのユーザーが増えることで、推薦の精度が向上することが期待されている。それによって、来街者の満足度をさらに向上させ、事業者の収益も高まる可能性があると考えられる。