2024年は「海外旅行の回復元年」とも言われ、4-6月の訪日外客数はコロナ禍以前の過去最多であった2019年同期を上回り、+7.4%の増加が見込まれている。これは、訪日外国人観光客の回復基調が顕著であり、今後もさらに増加が予想される。従来の観光スポットであるゴールデンルートだけでなく、比較的人が少ない穴場や自然豊かなエリア、アウトドアアクティビティへの関心が高まっていることも、2024年のインバウンド需要の特徴である。これに伴い、地域ごとの魅力や特性を活かした観光地の需要も増加傾向にある。
所沢市においても、こうしたインバウンド需要の高まりを受け、観光地としての潜在力が注目されている。特に、埼玉県内では川越が人気を集め、観光地ランキングで上位を占めているが、所沢市にも人気スポットが点在している。ベルーナドームや緑豊かなトトロの森、狭山湖を擁する三ケ島地区は、都心から電車一本でアクセスできる利便性と自然環境が共存するエリアであり、インバウンド観光の拠点としてのポテンシャルを持っている。
所沢市三ケ島地区では、地域資源を活用した宿泊施設が相次いで登場している。その一つである「宿えんがわ」は、築20年の空きアパートの一室を改築し、昨年7月にオープンした。畳の部屋で日本らしい生活を体感しながら滞在することができ、観光地巡りの拠点として中長期の滞在に適している。次に、「茶房 和朋庵」は、狭山茶を栽培から販売まで手掛ける和田園が提供する宿泊体験型の施設であり、茶摘みや手揉み、火入れ体験といった日本文化の体験が魅力である。今年10月からは、「古民家民泊 和朋庵」として宿泊予約の受付を開始する予定である。そして「カジュアルオーベルジュ樹樹」は、廃ホテルを再利用したレストラン併設の宿泊施設であり、所沢の自然や里山の原風景を感じながら、新感覚のフランス料理を楽しむことができる。これらの宿泊施設は、観光客が地域の魅力を存分に味わえるよう、それぞれの特色を生かしたサービスを提供している。
また、これらの施設は、空き家や廃ホテルといった未活用資源を再利用しており、地域の持続可能なまちづくりに貢献している。所沢市三ケ島地区では、これらの宿泊施設が連携し、観光客に対して体験プログラムを提供することで、地域コミュニティの活性化と観光振興を目指している。インバウンド需要の取り込みによって、地域経済の活性化や地域の魅力の発信が期待されており、今後も持続可能な観光地としての発展が進められていくであろう。所沢市三ケ島地区は、自然環境を活かしながら、新たな観光拠点としての魅力をさらに高めていくことが求められている。