和歌山県は、2017年観光入込客数が3.2%減少の3,376万人、宿泊客数も1.5%減少の517万人に。外国人宿泊客数も4.9%減少の47.6万人となった。県は外国人観光客増加のため医療観光の可能性を検討する。和歌山県の宿泊施設展開状況と合わせてレポートする。
前年の過去最高から一転、2017年は減少へ
和歌山県の観光客動態調査によると、和歌山県の観光入込客数は過去最高となった前年から3.2%減少に転じ、3,376万人、宿泊客数も1.5%減少の517万人となった。また、日帰り客についても3.5%減少し、2,859万人となった。
和歌山県観光客数推移
出典:和歌山県
上記のグラフの通り、和歌山県では2012年(平成24年)以来毎年観光客数が増加傾向にあったが、過去最高となった2016年(平成28年)から2017年(平成29年)は観光入込客数、宿泊者数、日帰り客数いずれの数値も減少に転じた。
外国人宿泊客も4.9%減少の47.6万人
減少したのは日本人だけでなく、外国人宿泊客についても同様で、前年比で4.9%減少の47.6万人となった。
割合としては以下のグラフの通り、香港が22.2%でトップ、中国は20.3%、台湾が13.6%などとなった。
出典:和歌山県
最も減少が目立ったのは中国で、前年比で30.7%減少と大幅な下落となった。他方で、4位で7.3%を占めるに至った韓国は、前年比で37.7%の増加となり中国と対照的となった。
和歌山県宿泊施設展開状況、外国人医療観光
メトロエンジンリサーチによると、和歌山県には宿泊施設が706、部屋数にして15,475が提供されている。
市町村別では、県庁所在地である和歌山市(宿泊施設:75、部屋数:3,359)を大き上回り、海と温泉のリゾート地である白浜町(宿泊施設:180、部屋数:3,644)がトップとなっている。
また、那智勝浦町(宿泊施設:38、部屋数:1,684)や高野町(宿泊施設:44、部屋数:1,111)が続き、「町」が多くの宿泊施設を占めているのが和歌山県の特徴である。
那智勝浦町は世界遺産の「紀伊山地の霊場と参詣道」の熊野エリアとなっており、高野町は真言宗金剛峯寺がある高野山が位置している。
県は2017年(平成29年)の観光客の減少について、一昨年に放映された大河ドラマ「真田丸」において高野山・九度山が舞台となったことで一時的に増加した観光客が減少したことや台風による天候不順によるものと分析している。
また、外国人宿泊客の減少については不足していた関西国際空港を利用した大阪府における宿泊施設が新規開業により充足に向かったことにより、中国人を中心に和歌山市内での宿泊需要が減少したものと見ている。
県は、今後外国人観光客向けに高度医療、健康診断、健康増進等を提供する、医療と観光を組み合わせた医療観光の新たな誘客の可能性について専門家や経済団体、病院関係者、観光業者などと業界横断で協議検討を進め、増加する訪日客の和歌山への誘導と獲得のための新たな取り組みを進める方針だ。
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