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全国市区町村別の宿泊施設数、1㎞²あたりの部屋数データから明らかになること

宿泊施設数トップは長野県白馬村

宿泊施設数の全国トップは長野県白馬村で、ホテル・旅館・民宿・ペンションなどを含む宿泊施設数は584軒を数える。

白馬村は、八方温泉、塩の道温泉、姫川温泉、かたくり温泉、みずばしょう温泉といった複数の温泉地があることに加え、冬はスキー場利用者も多く、古くから入込客数が多い観光地として知られている。

一方、宿泊施設数が全国トップであることに対して、白馬村の部屋数は6,600部屋で全国41位。1施設あたりの平均では10部屋程度となり、白馬村の宿泊業は小規模な旅館やペンションがメインであることが見てとれる。

宿泊施設数に目を向けると、白馬村と似た傾向を持つ自治体が数多くランクインしている。例えば、3位の静岡県伊東市(宿泊施設数439、部屋数6,071)、5位の神奈川県箱根町(宿泊施設数328、部屋数7,985)、7位の栃木県那須町(宿泊施設数286、部屋数3,897)、8位の岐阜県高山市(宿泊施設数283、部屋数5895)、9位の山梨県富士河口湖町(宿泊施設数275、部屋数4431)、11位の新潟兼妙高市(宿泊施設数266、部屋数3,681)などが同じタイプとして挙げられる。

これらの市区町村は、温泉をメインとする古くからの観光地という点で共通している。近年は、大資本チェーンの温泉業界への参入も目立つが、依然として小規模ホテル・小規模旅館が宿泊施設の中心的な役割を果たしていることが分かる。

部屋数トップ20は大都市と主要観光エリア

部屋数のランキングに目を移すと、宿泊施設数とは異なる様相を呈する。1位の東京都港区から20位の鹿児島県鹿児島市まで、上位にランクインする都市は、一部の例外を除きその多くが大都市となる。トップ20の内訳は以下のようになっている。

・東京都(港区、中央区、新宿区、千代田区、台東区、豊島区)
・大阪府(大阪市中央区、大阪市北区)
・北海道(札幌市中央区)
・福岡県(福岡市博多区、福岡市中央区)
・沖縄県(那覇市)
・愛知県(名古屋市中区)
・京都府(京都市下京区)
・宮城県(仙台市青葉区)
・石川県(金沢市)
・神奈川県(横浜市中区)
・千葉県(浦安市)
・兵庫県(神戸市中央区)
・鹿児島県(鹿児島市)

トップ20には東京、大阪をはじめ、福岡、名古屋、仙台など全国の主要都市が多く含まれている。これらの都市は、ベースとなるビジネスや観光での訪問者数が多いことに加えて、イベントやコンサートなど、短期的に集客効果の大きい興行の開催頻度が高いという共通点がある。

大都市以外でランクインする、沖縄県那覇市、石川県金沢市は2都市は観光地として有名な地域。国内外から多くの観光客流入があり、こうした需要が部屋数を押し上げていることが推測できる。

注目すべきなのが、鹿児島県鹿児島市。同市が、上位にランクインした要因のひとつとてして、外国人観光客の増加が挙げる分析も少なくない。

鹿児島県は、外国人の観光客を県内に呼び込むため、台湾→鹿児島の直行便就航や、県下の観光資源の情報発信など、海外に向けた様々な施策を講じてきた。その結果、2015年度には外国人観光客が前年比で56.3%増加し、これに合わせて、部屋数も増えていったと考えられる。また、屋久島への観光客が鹿児島市内で1泊した後に現地に向かうという傾向も読み取れる。

外国人観光客という観点からは、意外な側面も見えてくる。団体旅行が多い中国人観光客に一番人気の観光地・富士山周辺の都市が、上位にランクインしていない点だ。富士山周辺の静岡県、山梨県の各都市はトップ40にもランクインしていないが、この数字からは中国人団体旅行客が東京や大阪、名古屋などの大都市から新幹線で出発し、て富士山周辺を観光した後、また別の都市に移動して宿泊するという動向が把握できる。

東京・大阪の2大都市圏で1㎞²あたり部屋数が多い理由

部屋数を市区町村の面積で割った1㎞²あたり部屋数では、上位の大多数が東京・大阪の2大都市圏に集中している。内訳は以下の通り。

東京都(中央区、台東区、千代田区、港区、新宿区、豊島区)
大阪府(大阪市中央区、大阪市北区、大阪市浪速区、大阪市天王寺区、大阪市西区、大阪市淀川区)
神奈川県(横浜市中区)
愛知県(名古屋市西区)
京都府(京都市下京区、京都市中京区、京都市東山区)
福岡県(福岡市中央区、福岡市博多区)
広島県(広島市中区)

横浜市を東京圏、京都市を大阪圏に含めると、東京・大阪圏でトップ20のうち実に16を占めている。面積が小さいため相対的にこの指標が大きくなる面はあるが、東京・大阪圏にこれほど宿泊施設が密集する理由のひとつには、ビジネスホテルの存在がある。

他都市に比べて軒数が多いのは、訪問者数の多さに加えて移動距離と宿泊の関係を考察すると理解しやすくなる。東京のビジネスマンの出張を例に考えると、大阪出張では1泊、名古屋は日帰り、というケースが一般的で、大阪のビジネスマンが名古屋、東京方面に出張する際も同様だ。つまり、東京〜大阪間の距離(500~600㎞)がビジネスマンにとって1泊するかどうかの判断基準になっていると考えることができるのだ。

名古屋より規模が小さい広島市、福岡市がランクインしていることからも、500〜600kmより遠い場合は宿泊する傾向が見えてくる。大都市からのビジネスマンをメインターゲットにしていた地方都市のビジネスホテルは、生き残りをかけてサービス転換、業態転換が必要な時期に入っていると言えるのではないだろうか。そうしたホテルには、たとえ日帰りできる距離でも、ビジネスマンがそのホテルに滞在するニーズを生む、新たな付加価値作りが求められているのだ。

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