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2027年リニア新幹線開業に沸く名古屋、ホテルは中区と中村区に集中

経済、流通の中心的役割を果たす愛知県。メトロエンジンリサーチによると愛知県内の宿泊施設は、名古屋駅を中心とする中村区と中区に集中している。

2027年にリニア新幹線開業が決まるなどホテル業界にとって追い風が吹く愛知県の宿泊市場に迫る。

 

客室数では名古屋市中区と中村区に集中

メトロエンジンリサーチによると、愛知県内のホテルや旅館の客室は名古屋市中区、中村区の2エリアに集中していることがわかった。名古屋市中区は中日本エリア最大の繁華街、愛知県庁、名古屋市役所を有するまさに名古屋市の中核をなす行政区であり、経済においてもメガバンクの支店が置かれる他、日本三大証券取引所があるなど、名古屋市のみならず中部地方の中心地としても知られている。

また、名古屋城、東本願寺名古屋別院、サンシャイン栄といった名所・旧跡、観光スポットが多数あることも大きな特徴である。このような特徴を持つ土地だけに、観光客、ビジネス客ともに多く、宿泊施設がこのエリアに集まっているというわけだ。

出典:メトロエンジンリサーチ

 

名古屋市以外で宿泊施設数が多いのは南知多町

メトロエンジンリサーチによると名古屋市に次いで宿泊施設数が愛知県内で多かったのは、南知多町であることがわかった。(表)

南知多町とは知多半島の突端に位置する、漁業、農業や観光業が盛んな風光明媚な町である。人口が2万人にも満たない小規模な町が、愛知県内の宿泊施設数トップになった理由は大きく2つある。

一つ目の理由は、南知多町が古くから観光業が盛んで、民宿やペンションが多かったという点だ。南知多町は、風光明媚な景観、海水浴場、釣り場など多くの観光資源を有しており、観光の町という側面を持っている。

二つ目は、篠島、日間賀島といった離島が南知多町に属している点である。篠島、日間賀島はともに三河湾に浮かぶ離島で、どちらも島全域が三河湾国定公園に指定されている観光の島である。観光を売りにしているだけあって、どちらの島も規模の割に宿泊施設が豊富だ。

なお、南知多町の宿泊施設数は141施設と県内最多であるにも関わらず、客室数は1,523部屋と県内6位に留まっているのは、小規模な旅館や民宿、ペンションが地域の宿泊需要を下支えしているからと考えられる。

 

2027年のリニア新幹線開業に沸く名古屋

名古屋市によると名古屋市全体の客室稼働率は72.9%、中区、中村区といった中心エリアに絞ってみると稼働率は90%を超えている。一般的には客室稼働率が80%を超えると宿泊予約が取りづらいとされている。

つまり名古屋市、とりわけ中心部は絶対的に宿泊施設が足りない状況に陥っているのだ。こうした状況を受けて、現在、中区、中村区を中心に行われているのが新規ホテルの開発ラッシュである。2027年のリニア新幹線開業に向けてさらに開発競争は激化していくだろうというのが大方の見方である。

リニア新幹線の開業はホテル業界にとって大きなビジネスチャンスである一方、東京ー名古屋間が最短40分という利便性の良さから、観光客が愛知県で観光はするが宿泊しないという状況に陥る懸念も残る。名古屋に宿泊する魅力、愛知県のホテルに泊まる魅力を業界の総力を挙げて考えていかなければならない局面も今後訪れるだろう。

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