外国人観光客の急増に合わせて、各宿泊施設ともに客室稼働率が大きく上昇している。それはリゾートホテルでも同様で、2012年と2017年のリゾートホテルの客室稼働率を比較すると、約10%増である。
全国位的に上昇する稼働率
近年の訪日外国人の急増に伴って、さまざまなタイプの宿泊施設がインバウンド需要の恩恵に預かっている。それは、高級感、非日常感といったイメージを持つ人が多いであろうリゾートホテルも例外ではない。
(表1)
(表1)は、2012年1月から2017年10月までのリゾートホテルの全国平均稼働率データをグラフにしたものだ。これを見ると明らかなように、徐々にではあるが全体の平均稼働率が上がっている。
さらに、このグラフからは8月の繁忙期の稼働率は5年間で大きな変化はないものの、ホテル業界で最も稼働率が下がるはずの1~2月の客室稼働率が上がっていることも読み取ることができる。
実際に2012年の1月の客室稼働率は、40.9%だったのに対して、2017年1月は51.1%にまで上昇している。加えて、閑散期の客室稼働率の上昇には2月の春節(旧正月)で毎年長い連休になる中国人観光客の存在も大きく寄与しているだろう。
また、リゾートホテルの客室稼働率はビジネスホテル、シティホテルと比較すると低い傾向にある。そのため、ビジネスホテルやシティホテルへの宿泊予約が取れなかった訪日外国人がリゾートホテルに宿泊し、その結果、閑散期の客室稼働率を押し上げたと見ることができる。
2012年の客室稼働率トップは千葉県、背景はディズニーリゾートの存在か
次に、2012年の客室稼働率と2017年の客室稼働率を都道府県別に比較してみたい。結論から先に言うと、2012年と2017年、わずか5年の間にリゾートホテルの都道府県別客室稼働率は、大きな変化があることが分かった。
(表2)
(表2)は、2012年の都道府県別の客室稼働率のトップ10を示したものだ。トップは千葉県の72.83%、第2位が大阪府で72.81%、第3位の東京都が69.97%だった。
この両県は、テーマパークへの来場者が客室稼働率につながったと考えられ流のではないだろうか。
2017年大阪府の客室稼働率は年間平均で90%に迫る
次に、2017年の客室稼働率に目を向けてみよう。(表3)は、都道府県別の2017年の客室稼働率トップ10をまとめたものだ。第1位は大阪府で、その客室稼働率は89.37%を記録している。
(表3)
以下、千葉県の82.46%、沖縄県の76.5%と続いている。一般的にホテル業界では客室稼働率が80%を超えると予約が取りづらいとされている。大阪府と千葉県のリゾートホテルは、年間を通して予約が取りづらい状況が続いているというわけだ。
また、(表2)と(表3)を見比べてみると、全体的に客室稼働率が上昇していることが分かる。とりわけ、大阪府の客室稼働率の上昇には目を見張るものがある。2012年の大阪府の客室稼働率は72.81%だったが、2017年には前出のように89.37%にまで上昇している。
このように、大阪府のリゾートホテルの客室稼働率は90%に迫る勢いだが、これはあくまで閑散期を含めた年間を通した数字であり、繁忙期にはこの数字がさらに上昇する。月の下旬からゴールデンウィークに入る4月は91.2%、多くの企業が夏季休暇に入る8月には97.8%を記録している。
これまで、シティホテルやビジネスホテルに比べると客室稼働率が低く、予約が取りやすいというイメージだったリゾートホテルだが、こと大阪府に限って言えば、繁忙期はもちろん、閑散期でも宿泊予約を取ることは難しくなって来るだろう。
また、1人当たりの1泊宿泊費が高い、欧米豪の訪日増加によって需要が増えていくことも考えられる。今後の国別訪日外客数の推移と稼働率の推移に注目が集まりそうだ。