ホテルバンクは、宿泊施設向けレベニューマネジメントツールを提供するメトロエンジン株式会社が提供するデータを基に2023年から2024年3月にかけての国内宿泊需要について独自の調査を行った。本調査は、メトロエンジンが保有する予約室数情報と全国の宿泊施設のレビューデータを用いて分析しており、特に国内旅行者(邦人)と訪日外国人旅行者(インバウンド)の宿泊需要の違いに焦点を当てている。
日本の都市部や主要観光地は、国内外の観光客によって常に賑わいを見せており、新型コロナウイルス感染症の影響が薄れる中で、宿泊需要は全体として増加傾向にある。しかし、観光庁が公表した宿泊者統計によると、2024年3月の延べ宿泊者数は前年同月比16.3%増の5,486万人に対し、日本人宿泊者数は2.3%減の4,216万人であり、日本人の国内宿泊需要が伸び悩んでいる状況が明らかになった。
予約室数の動向においては、インバウンドの予約が増加し続けていることが確認され、2023年第一四半期と2024年同期を比較すると、外国人の予約室数は約4.4倍に増加している。一方で、邦人の予約室数は約1.6倍にとどまっており、増加率に明らかな差が見られる。
レビュー投稿の状況に関しても、同様の傾向が認められる。2023年第一四半期から2024年同期にかけてのデータ分析では、邦人のレビュー件数は約22%減少しているのに対し、外国人のレビュー件数は約28%増加している。これは、訪日外国人旅行者の満足度が高まっている一方で、国内旅行者の満足度が低下していることを示唆している。
背景として、日本人の旅行需要の伸び悩みは、宿泊料の高騰が原因の一つとされている。物価高騰や人材不足によるコスト増が、宿泊価格の上昇につながり、これが旅行回数の減少に影響を及ぼしている可能性がある。一方、外国人旅行者にとっては、円安の影響で日本が比較的安価な旅行先となり、さらに旅行消費が促進される結果、宿泊需要が増加している。
調査結果が示すように、訪日外国人旅行者の宿泊需要が高まっておりインバウンドの取り込みが今後の成長の鍵となる。訪日外国人旅行者向けのマーケティングやサービスの強化がさらに重要だ。一方、国内旅行者に対しては、満足度の低下を抑え国内旅行意欲を喚起するような高付加価値化などの策を講じる必要がある。