北海道の東に位置するオホーツク圏の産業・文化の中核都市で2018年の平昌オリンピックで日本カーリング史上初のメダルを獲得したロコ・ソラーレ(LS北見)が拠点とすることでも知られる北海道北見市のホテル宿泊事情について、観光宿泊需要と宿泊施設供給の観点から分析レポートする。
ひと・まち・自然きらめくオホーツク中核都市、北見市
出典:LS北見
北見市は北海道オホーツク総合振興局の所在地である網走市の東側に位置する、人口は約11万8千人の都市である。周辺の町との合併を経て、東は大雪山系の石北峠からオホーツク海に至る、道内で一番広い市となった。ハッカ、玉ねぎ、ホタテ、常呂遺跡などの名産・名所も多い。
2018年の平昌オリンピックで日本カーリング史上初のメダルを獲得したロコ・ソラーレ(LS北見)が拠点とする常呂町も含まれており、同市内ではカーリングを通した国際交流なども行われている。
また、北見市常呂町のアドヴィックス常呂カーリングホールは国際大会開催規格に準拠し、国内最大の競技場数6シートを備えた専用屋内施設となっている。
観光需要は微増、道内客は増加、道外客は減少
北見市の観光入込客数の2017年度までの直近10年の推移を示したのが以下の表である。
出典:北海道
北見市の観光客数は2008年度の約1,362万人から2013年度には約1,586万人へと16%増加し、その後増減を繰り返しながら、2017年度は約1,493万人となっている。10年で約1割増である。道内客は10年で約21%増加しているが、道外客は約14%減少している。
宿泊延数はV字回復も、訪日客比率は依然低水準
以下の表は北見市の2017年度までの直近10年の延べ宿泊数の推移である。
出典:北海道
北見市の延べ宿泊数は2008年度の約706万泊より東日本大震災の影響が見られる2011年の約486万泊を底とし、2014年度より増加に転じ、2017年度には約719万泊まで回復している。
訪日客は2008年度の約1万泊から2017年度は約2万泊とほぼ倍になっており、構成比は1.3%から2.9%へと上昇しているものの、道全体の訪日客比率20.3%と比較すると大幅に低い水準にとどまっている。
宿泊供給は10年で1割増、需要伸びを超過
メトロエンジンリサーチによると、北見市内には2019年3月時点で47の宿泊施設が展開しており、部屋数にして3,046室が提供されている。2008年7月時点の45施設2,757室と比較すると部屋数が約10%増加している。
北見市全体の宿泊需要はV字回復しており、直近10年間で約2%増であるが、供給が10%増加したことから、市内の宿泊施設の業績としては、需給の関係から厳しい環境が続いていると考えられる。
「カー女子」で2018年度は道外客が増加か!?
北見市の宿泊施設は、市内中心部にあるホテルと留辺蘂地区にある温根湯温泉の旅館に大きく分けることができる。この特徴から、市内の宿泊需要は堅調に推移する道内客の、ビジネスと温泉旅行の需要に支えられているものと考えられる。さらなる宿泊増のためには、道外客と訪日客の増加が課題であると言えそうだ。
昨年冬、日本中で大きなブームとなり、「そだねー」が流行語ともなったLS北見の「カー女子」が2018年度観光の呼び水となり、カーリンググッズやスイーツのカーリング焼きを楽しむカーリングスポット巡りが北見市で人気を集めているという。
これが中長期にも道外客の宿泊需要の増加につながるかどうか、まずは2018年度の観光宿泊統計結果の発表が待たれる。
【合わせて読みたい】