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シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル、3タイプの客室稼働率の推移から見えてくるものとは

外国人観光客が急増している日本では、近年さまざまなタイプのホテルがオープンしている。特色はそれぞれあるものの、一般的にホテルは、シティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテルの3つのタイプに分けることができる。この3タイプの客室稼働率にはどのような違いがあるのだろうか。各タイプの客室稼働率の違いと、そこから見えてくる近年の日本の観光業界の特徴を解説していこう。

 
過去5年間、どのタイプのホテルの稼働率も上昇傾向にある
近年、日本では外国人観光客が急増しているが、それに伴ってホテルの稼働率も上昇している。それを裏付けるのが、図1~3の各タイプのホテルの全国平均稼働率を表したグラフである。このグラフを見てみると一目で分かるように、シティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテルの3タイプのホテルとも、客室稼働率は上昇傾向にある。

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」

 

また、このグラフからは、程度の差こそ多少はあるものの、3つのタイプのホテルともに繁忙期と閑散期が一致していることが見て取れる。どのタイプのホテルでも年間で最も稼働率が高いのは子どもの夏休みや企業の夏季休業などが重なる8月、その反対に最も稼働率が低いのは1月だった。

 

3タイプのホテルのうち最も人気が高いのはシティホテル

先に挙げたシティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルのうち、客室稼働率が平均して高いのはシティホテルだった。シティホテルとビジネスホテルの客室稼働率を比較してみると、グラフ上では概ね同じような軌跡を辿っている。
 
どちらのタイプのホテルも毎年1月は閑散期で、ゴールデンウィークのある5月に向けて徐々に客室稼働率が上がっていき、8月にその年で一番の繁忙期を迎え、秋の旅行シーズンで第2のピーク、という線を描いている。
 
ただ、どのシーズンにおいてもシティホテルの稼働率がビジネスホテルの稼働率を上回っている。たとえば、2017年8月のビジネスホテルの客室稼働率は全国平均で80.2%だったが、同月のシティホテルの客室稼働率は84.1%だった。また、閑散期で比較してみてもビジネスホテルの客室稼働率が65.6%だった2017年1月のシティホテルの客室稼働率は、68.9%だった。このように、どのシーズンも数%ずつシティホテルの客室稼働率がビジネスホテルの客室稼働率を上回っているのだ。
 
これは団体客やファミリー客の宿泊数の違いと言えるだろう。ビジネスホテルとシティホテルは、どちらも都市部にあるホテルで、厳密な定義付けはされていない。しかし、一般的にシティホテルはシングルルーム、ツインルーム、スタンダードルームからエクゼクティブルーム、スイートルームなどさまざまなタイプの客室を用意しており、多彩なニーズに対応可能という側面がある。
 
対して、ビジネスホテルは多くの場合シングルルームが多く、宿泊に特化したホテルという印象を持つ人が多く、ファミリー客や団体客は必然的にシティホテルを選ぶ傾向が強くなる。このホテルの特色の微妙な差が、客層に違いを生み出し、結果、少しずつ客室稼働率に違いが出てくるというわけだ。
 
リゾートホテルは閑散期の客室稼働率が大幅に上昇
それでは、リゾートホテルの客室稼働率はどのような特徴を持っているのだろうか。図1~図3を見比べると、リゾートホテルの客室稼働率はビジネスホテル、シティホテルと比べると、繁忙期と閑散期の落差が大きいことが分かる。また、繁忙期の客室稼働率が近年80%を超えるケースが目立つビジネスホテル、シティホテルに比べるとリゾートホテルは繁忙期でも70%を超える程度なのが見て取れる。
 
さらに、リゾートホテルの近年の客室稼働率の大きな特徴として、繁忙期の客室稼働率に大きな変化はないものの、閑散期の客室稼働率が年々上昇しているということが言える。実際、2012年の1月と2017年の月の客室稼働率を比較してみると、2012年1月は40.9%だったのに対して、2017年月の客室稼働率は51.1%と5年間で10ポイントも上昇している。
 
 
宿泊施設の増加が日本の観光業の喫緊の課題
ここまで見てきたように、3タイプのホテルともに年を追うごとに客室稼働率が上昇している。これは、外国人観光客の増加と軌を一にしている。外国人観光客は、2020年に行われる東京オリンピックに向けてさらに増加することが予想されている。
 
一般的にホテルは、客室稼働率が80%を超えると予約が取りづらくなるとされており、繁忙期における宿泊需要を受け入れる能力は限界に達しつつあることが見えてくる。ホテルをはじめとした宿泊施設がどのように発展していくのか、住宅宿泊事業法の施行が始まる2018年の動向に注目したい。
 
 

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