新宿ワシントンホテル本館とANNEX(別館)は、2025年6月10日(火)から宿泊業界初となる農業由来のJ-クレジットを活用した「農業応援 CO₂ゼロSTAYプラン」を販売開始した。このプランでは宿泊により排出されるCO₂を実質ゼロにすることができるだけでなく、特典として新潟県産の「蛍の里くびき米」2合と「オフセットSTAY証明書」が贈呈される。
このプランは、温室効果ガスの一種であるメタン排出を抑えるため、「水稲栽培における中干し期間延長」という手法を用いている。これは、田んぼの水を一時的に抜き、土を乾かすことでメタン発生を抑制する方法であり、株式会社蛍の里がこの方法で生産した「蛍の里くびき米」が提供される。特典米は限定300個で、宿泊者は滞在を通じて環境配慮と農業支援を同時に体験できる。
地球温暖化の要因のひとつにCO₂排出量の増加があり、世界各国が具体的な削減目標を掲げている。日本でも2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年比で46%削減し、2050年にはカーボンニュートラルを達成することを目標としている。旅行や観光におけるCO₂排出量は全体の約1割を占めるとされる中、このプランはカーボン・オフセットの仕組みを活用し、宿泊で発生するCO₂排出量を削減活動に投資することで実質ゼロに相殺する。
農業分野では生産者の減少や高齢化が課題となる中、農業由来のJ-クレジットは生産者に新たな収入をもたらし、持続可能な食料生産を支える仕組みである。新宿ワシントンホテルでは、この仕組みを通じて、宿泊者が農業支援に参加しながら環境負荷を抑えた滞在を楽しめる形を提供する。
今回の取り組みは、株式会社JTBコミュニケーションデザインが展開する「CO₂ゼロSTAY」を活用したものであり、省エネルギー設備や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理などで創出されたCO₂削減量をクレジット化し、国の認証を受けたものを基にしている。稲作においては、中干し期間を通常より7日以上延長することで田んぼからのメタン排出を約30%削減し、その削減分をクレジットとして可視化・価値化している。
今回のプランの販売を担う新宿ワシントンホテルを運営する藤田観光は、1948年に「箱根小涌園」を開業し、以来70年以上にわたり日本の観光業界を牽引してきた企業である。長年培ってきた地域連携とホスピタリティのノウハウを活かし、人材や文化財などの企業資産を最大限に活用することで、時代に合わせた新しい宿泊体験を提供しながら、お客様の様々なシーンに寄り添い、「潤いのある豊かな社会の実現」を目指している。
宿泊者は、このプランを通じて農業支援と環境配慮を体感でき、滞在後には「オフセットSTAY証明書」が発行される。宿泊プランは300名限定で、公式サイトおよび各予約サイトで販売している。宿泊期間は2025年6月10日から8月31日までで、料金は1名1室11,700円から、2名1室15,100円からの変動価格で提供される。新宿ワシントンホテルは、今後もお客様とともにSDGsの推進と持続可能な社会づくりに取り組んでいく方針である。