SEEDER株式会社は、Z世代の旅行価値観に焦点を当てた調査レポート「Z世代に関する行動・価値観-ミニトライブレポート 貢献トラベラー旅行体験の未来-」を発表した。この調査では、貢献トラベラーに該当するZ世代の3名にインタビューを行い、彼らの価値観や体験から未来の旅行トレンドについての示唆を得ることを目的としている。
オンライン化された現代社会を生き、COVID-19のパンデミックを経験したZ世代は、リアル世界での人との繋がり・帰属意識を強く求めている。また、Z世代は社会貢献活動に対する理解は深い一方で、近年の社会やビジネスにおけるエシカル消費などといったトレンドを背景に、貢献活動を行わなければいけないという義務感を感じている。加えて、社会貢献活動を行うことで、他者からいわゆる「意識高い系」=「自己頭示欲求や承認欲求が強い人」といったレッテルを貼られ、距離を置かれることを避けたいとも考えている。このような環境の中で、旅行体験を通じて社会貢献活動を行うZ世代が登場している。本調査では、このような「旅行を通じた地域貢献活動を行うZ世代の旅行者」を「貢献トラベラー」と定義づけ、インタビュー調査を行った。
調査によれば、Z世代は旅行中のアクティビティの一つとして社会貢献活動を捉えることで、プレッシャーや義務感を感じることなく、自身の好きなことを通じて環境や社会に貢献する機会を作り出している。彼らは、旅行中に地域の住民と同じ目線で仕事をしたり、生活を共にすることで、都会では味わえない土地や人との強い繋がりを感じたいと考えている。また、地域貢献を通じてその地域コミュニティに馴染むことで、ネット上では得られないニッチな場所や体験を発見することにも興味を持っている。
Z世代にとって社会貢献活動は、ミレニアル世代が抱えていたような強い課題意識や使命感に基づくものではなく、エンターテイメント性を取り入れた娯楽の一つとして捉えられている。彼らは、義務感や責任感に縛られることなく、趣味や人との交流を楽しみながら社会貢献を行うことを望んでいる。さらに、Z世代はミレニアル世代とは異なり、観光客としてではなく地元民と同じ視点で衣食住を共にすることで、リアルな人との繋がりを強く感じたいという欲求がある。彼らはオンラインで過ごす時間が長く、また、SNSで様々な情報が溢れ擬似的にその場を訪れたような感覚になることから、旅行先では地元の住民になりきって、現実世界での人との強い繋がりを得ることができる旅行体験を求めている。
この調査レポートでは、貢献活動を旅行中のアクティビティの一部として捉えるZ世代の特徴が明らかになっている。彼らは、ボランティアとして奉仕することを第一の目的にするのではなく、旅行中に楽しむコンテンツの一つとして社会貢献活動を取り入れており、旅行をしながら地域の魅力や課題に向き合うことで、地元民と同じ視点を獲得し、単なる観光では得られないその地域の本質的な魅力を発見することを目指している。担当アナリストは、Z世代がプレッシャーや義務感を感じることなく、自身の好きなことを通じて環境や社会に貢献する機会を作っているということを挙げ、彼らの価値観を深掘りすることで、これからの旅行体験の未来やサステナブル消費の未来だけでなく、エンターテイメントやコミュニケーションの未来に関連する示唆を得られると述べた。