株式会社地域創生Coデザイン研究所は、株式会社うるるが運営する「入札BPO」と共同で、西日本を中心とした全国100自治体を対象に「観光活性化の課題とデータ活用に関するアンケート調査」を実施した。本調査は、自治体の観光施策立案に関わる部署の担当者を対象に、2025年1月17日(木)から2月14日(金)までの期間、WEB・FAX・メール・郵送にて行われ、有効回答数は81自治体であった。
調査の背景には、コロナ禍による観光需要の停滞からの急速な回復がある。国内旅行者の増加に加えて訪日外国人観光客(インバウンド)の戻りも顕著となり、観光は地域振興の要として再び注目されている。しかし現場からは、「集客施策の効果が測定できない」「来訪者の経済波及効果が見えにくい」といった声が多く、施策の検証・改善に向けた仕組みづくりが求められている。調査結果によると、現在実施している観光施策について「成功した」と回答した自治体は全体の3割未満にとどまった。特に「インバウンド観光客の獲得」に関しては一定の成果があったものの、多くの自治体が手探りの状態であることが浮き彫りとなった。
加えて、今後活用したいデータとしては「人流データ」が74%と最も多く、リアルタイムで観光客の動向を把握できる情報へのニーズが高まっていることがうかがえる。従来のアンケートや観光庁のオープンデータに加え、より即時性のあるデータの活用が求められている。
一方で、データ活用における課題も明らかとなった。最も多くの自治体が挙げたのは「データの分析手法」で69%、次いで「データを活用した具体的な施策の立案」が65%、「データを活用するための人材の不足」が59%という結果であった。データ活用への関心は高いものの、それを活かすための知識や人材が不足している実態が浮かび上がった。
調査を終えて、地域創生Coデザイン研究所は、自治体がデータ活用に対して高い意欲を持つ一方で、人材や体制の不足という現場課題が顕在化していると分析する。また、観光施策に対する成功実感が限定的であることは、データに基づく施策検証や改善プロセスが十分に機能していない可能性を示唆しており、多くの自治体がいまだ模索段階にあることが明らかになった。
同研究所には、各地域の課題に対する相談が自治体や地域企業・組織から日々寄せられており、今後も地域に密着した支援を継続していくとしている。具体的には、データ活用と地域特性に応じた社会システムの構築を通じて、課題の可視化から人材育成、戦略の策定、施策の実装までを一貫して支援し、持続可能な観光まちづくりに貢献していく方針である。
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