株式会社おてつたびは、運営するお手伝いと旅を掛け合わせた人材マッチングサイト『おてつたび』を通じ、2020年より京丹後市観光公社と連携を開始し、2024年から連携をさらに強化している。宿泊施設の人手不足解消と関係人口の創出に向けた取り組みを積極的に進めている。
京丹後市は、夏季の海水浴や冬季のカニを軸とした「二季型」の観光地であり、特にカニ漁のシーズンには観光需要が急増し、宿泊施設を中心とした深刻な人手不足が課題となっている。こうした背景を踏まえ、おてつたびは京丹後市観光公社と以下の連携を実施している。
観光公社会員が『おてつたび』を初回利用する際にマッチング手数料をキャッシュバックするほか、『おてつたび』の各種SNSで観光公社会員の求人情報を広くPRしている。また、観光公社会員には専任サポートを提供し、観光公社ウェブサイトでの登録方法や事業内容の閲覧、電話やメールでのフルサポートを行っている。
これまでの連携においては、2024年6月からの海水浴シーズンに向け、新たに8事業者が『おてつたび』の受け入れ先に加わり、京丹後市内の受け入れ事業者数は合計24事業者に拡大している。これにより、全国から50人の応募があり、うち19人が宿泊施設や観光業で働き、地域の人手不足解消に貢献している。また、2020年の連携開始以来、累計87人が『おてつたび』を通じて京丹後市内で宿泊施設や観光業に従事している。
『おてつたび』は、「お手伝い(短期アルバイト)」と「旅」を組み合わせた人材マッチングサービスであり、人手不足に悩む地域事業者と、働きながら旅を楽しみたい旅行者をつなぐ役割を果たしている。旅行者は現地までの交通費を自己負担するものの、旅先での労働によって報酬を得られるため、旅行の経済的負担を軽減できる。さらに、地域の人々との交流を通じて、地域文化や暮らしを深く楽しむことができる。
一方で地域事業者にとっては、地域外からの働き手に報酬と宿泊場所を提供することで、業務を支援してもらえるメリットがある。「旅」を切り口に全国各地から働き手を集められるため、交通費の支給も不要であり、働き手が休日や空き時間に地域を観光することで地域経済の活性化も期待できる。『おてつたび』での滞在期間は1泊2日から最長2ヶ月まで多岐にわたり、参加者の平均滞在期間は14日間となっている。現在、登録ユーザー数は6万人を超え、そのうち実際に参加した人の約52%がZ世代である。
『おてつたび』の特徴は大きく分けて3点ある。第一に旅を切り口にすることによってどんな地域でも全国から求人応募が集まる点である。第二に、就業期間や業務内容などを自由に設定可能であるため、単発や日雇いでは難しい業務も任せられる点である。そして第三に申込者の情報を確認し、採用不採用を選択できる点である。経験者からの応募の場合は過去に事業者からの評価も参考にすることが可能だ。
受け入れに必要となるのは参加者への報酬とマッチング手数料、参加者の宿泊場所である。おてつたびでは参加者と事業者の間で直接雇用契約を結ぶ形態をとっており、労働者派遣やボランティアではないことに注意が必要だ。おてつたびを利用する場合は、まずオンラインでのサービス利用説明会に参加し、求人を作成したのちにマッチングとお手伝いのじっし、という流れとなる。