JTBは2025年のゴールデンウィークにおける1泊以上の旅行動向をまとめた。今回のレポートは、JTBグループが行ったアンケート調査をはじめ、経済や観光業界の動向、宿泊施設の予約状況など多岐にわたるデータを基に推計されたものであり、1969年から継続している調査である。
今年のGWにおける総旅行者数は2,345万人と推計され、前年と比べ93.1%となった。総旅行消費額は9,855億円であり、こちらも前年対比96.1%となっている。国内旅行に限定すれば、旅行者数は2,290万人で前年対比92.8%、平均費用は36,600円で101.4%と微増しているものの、総消費額は8,381億円と前年より減少している。一方で海外旅行は明るい兆しを見せており、旅行者数は55万人と前年より10%増加し、消費額も1,474億円で前年の109.6%となった。
2025年のゴールデンウィークは、5月3日から6日が4連休となっており、休暇の取り方によっては最大11連休も可能となる。しかしながら、調査によれば、GW期間中に「旅行に行く(”行く”と”たぶん行く”の合計)」と回答した割合は20.9%と、前年から5.6ポイント減少した。同期間である4月25日から5月5日に限定すると、その割合は18.7%である。性別・年代別に見ると、すべての層で旅行意欲は前年を下回っており、特に若年層の意欲減少が顕著であった。旅行に行かない理由としては「混雑」が最多であるが、前年より減少し、「費用が高い」「家計に余裕がない」といった経済的理由が続いている。
国内旅行の出発日は5月3日と4月26日にピークが集中しており、1泊2日や2泊3日の旅行が主流ではあるが、3泊以上の割合が増加している。旅行目的は「リラックス」「家族との時間」「食事」が上位だが、これらは減少傾向にあり、「趣味を楽しむ」が最も増加した項目となった。旅行先では関東が最も多く、次いで近畿、九州となっている。北陸は地震の影響から回復し、前年から増加した。旅先選びの理由では「行きたい場所があるので」が最多であり、「自家用車やレンタカーで行ける場所」「帰省先」が続く。オーバーツーリズムを避ける意識も高まりつつある。居住地別では「北海道」以外の地域で域内旅行が減少し、隣接地域への移動が目立つ。
同行者としては「子供づれの家族旅行」が最多であり、「夫婦のみ」「ひとり」が続く。「ひとり旅行」は減少傾向からやや回復した。費用面では「2万円~3万円未満」が最多だが、全体として費用は増加傾向であり、「5万円以上」が増えている。交通手段としては「自家用車」が最多ながら減少し、「鉄道」「航空機」「レンタカー」が増加している。宿泊施設は「ホテル」が最多で、「旅館」「実家・親族の家」と続いた。特に「アウトドア系宿泊」の割合が増加しており、伸び率が最も高かった。関心の高い訪問先としては、「自然が楽しめる場所」が上位に挙げられた。
海外旅行については、出発日は4月24日以前や4月25日がピークである。旅行日数は「3泊4日」が最多で、短期・長期ともに減少傾向にある。費用は「10万~15万円未満」が最も多く、旅行先は「韓国」「台湾」「東南アジア」「ハワイ」「ヨーロッパ」などが人気である。近距離かつ安価な地域が選ばれやすい一方で、遠距離への需要も一定数存在している。
今後の海外旅行に対する意向では、「すぐに行きたい」行き先として「ハワイ」「ヨーロッパ」「オセアニア」が上位となった。経済環境については、物価高や為替の不安定さ、景気の不透明感が消費に影響しており、家計の引き締めが顕著にみられる。JTBの調査でも「生活費を節約」「趣味や旅行への支出を減らす」「大きな支出を控える」との回答が増加している。
今後の旅行意欲については、「安心できる地域であれば旅行したい」との回答が多く、積極的な意向が示された一方で、「混雑した人気旅行地を避けたい」との傾向も強い。旅行に求める内容としては「自由度の高い旅行」「低価格の個人手配旅行」の支持が依然として高いが、前年よりやや減少している。支出意向では「同程度」「増やしたい」が減少し、「減らしたい」が増加しており、旅行予算の厳しさがうかがえる。今年のGWに旅行を予定している人の支出項目では、「飲食」が最も重視され、「宿泊施設」「体験・アクティビティ」「土産品購入」が続いた。特に「飲食」「宿泊施設」は年配層、「アクティビティ」は若年層、「土産品購入」は女性の割合が高い傾向がある。