Skyscanner Japan株式会社は、2024年7月に世界各地の20,000人(日本人1,000人を含む)を対象に実施した「スカイスキャナー・トラベルトレンド・レポート2025」を発表した。同社は、世界中の航空会社や旅行会社、ホテルなど約1,200のウェブサイトから最適な旅行プランを提供するグローバル旅行アプリであり、52か国、32言語に対応している。今回のレポートでは、スカイスキャナーが保有する検索ビッグデータと、調査データを基に、2025年の旅行トレンドを紹介している。
2025年の旅行を象徴するキーワードは「コミュニティや集団での共有できる体験」である。調査によると、2025年は、大きく分けて7つの分野における旅行体験が重視されると予測される。その7つとは「アクティブな旅」「リセット旅行」「アートな旅」「星空を巡る旅」「カウボーイスタイルの旅」「庭園巡りの旅」「ゲームの旅」である。中でも日本人旅行者に特に関連性が高いのが、「アートな旅」、「アクティブな旅」、「リセット旅行」の3つであった。
旅行の魅力のうちの1つとして「非日常感」が挙げられるが、なかでもアート・文化に触れるといったことは日本人旅行者の中でも、目的の上位にランクインしている。今回の調査では、日本人旅行者の42%が旅行先選びにおいて文化を最も重視していることが明らかとなった。アートに対する需要が高まっていることに加え、コロナ禍を経てデジタルアートが一般的になってきたことから、人気が上昇しているのが「没入型アート」である。没入型アートとは作品がシームレスにつながっており、来場者自身もアート作品の一部に溶け込む形で圧倒的な没入感を体験できる展示で、特に若者においてこの傾向は顕著になっている。中でも、25~34歳の31%が2025年に没入型アートを体験する予定であると答えており、アートを通じた創造性の刺激や、他者との共有体験が重視されている。デジタル技術と芸術表現を融合させたチームラボのようなアートが、国内外から高い評価を受けていることも一因である。
アクティブな旅では、スポーツイベント観戦やスポーツを通じた体験が注目されている。2024年のパリオリンピックの期間内では、日本からパリへのフライト検索数が47%も増加しており、日本人旅行者の37%が2025年にスポーツイベントを観戦するための旅行を予定している。また、25~34歳の45%がランニングやサイクリングを通じて新たな場所を探索することに興味を持っている。更にスポーツへの情熱は、旅行のスタイルの変化にも影響を与えており、スポーツを通じて観戦だけでなく自らも体を動かしていくアクティブなスタイルが、特に若者の間で人気を集めていると言えるであろう。
リセット旅行に関しては、旅行を通じて心身をリフレッシュすることが旅行の主目的として増加傾向にある。日本人旅行者の40%が、以前よりも自身の健康と幸せについて意識するようになったと回答しており、特に若い世代では、休暇中に健康的な活動を取り入れる傾向が強まっている。
今回の調査では、スカイスキャナー独自の検索データから導かれた、2025年にブレイクが予想される旅行先についても紹介している。検索数が増加している旅行先1は、アンコールワットで有名なカンボジアのシェムリアップや文化遺産や自然が豊かなマレーシアのミリ、そしてサッカー人気も関連するスペインのサン・セバスティアンなど、2025年に来ると想定されるトレンドトピックスに関連する場所が複数ノミネートしている。また、航空運賃が値下がりを見せている旅行先の中においても文化・自然遺産が豊かな地名やリラックス出来るリゾート地がリストアップされており、「旅行先を選ぶ際に費用面で重視するのは?」といった質問の回答が、ホテル代 (49%)、航空券代 (43%)、飲食費 (32%)、お得な通貨/為替レート (32%)といった結果になったことからも分かるように航空券のコストは旅行先の意思決定に大きな影響を与える可能性が高いため、航空運賃が値下がりを見せている旅行先は観光客の増加が見込まれるであろう。
これらの結果から、スカイスキャナーは旅行者が求める体験をより的確に把握し、AI技術を活用した個別に最適化された旅行プランの提供を目指している。旅行業界は今後も技術革新を通じて、旅行者により良い体験を提供していくことが期待されている。