HISによる「2024年GW旅行予約動向」調査の結果が公表された。この調査は、2024年3月25日に行われ、同年4月26日から5月6日までの出発を対象としたHISのツアーや航空券の予約者を調査対象としている。市場環境から見ると、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げから約1年が経過し、国際線の座席数の増加や地方空港の国際旅客定期便の再開など、供給面ではポジティブな動きが見られる。しかしながら、円安や物価の高騰などの影響でアウトバウンドの数はやや弱含みである。国内経済では、春闘における賃上げ率が5.25%と過去30年で最高水準を記録している。
今年のGWの日並びは、最大で10連休が可能であるが、実際にはカレンダー通りの休みを取る企業が多いため、大型連休とは言えない状況である。
海外旅行の予約者数では、ソウル、台北、ホノルルなどが上位にランクインしており、特にパリは、夏の繁忙期に開催されるスポーツの大会の影響で、GWに予約を変更する傾向が見られる。全体としては、前年同期比で123.2%と増加しているものの、コロナ前の2018年比では53.3%となっており、海外旅行市場の大きな回従はまだ見られない。
海外旅行の急上昇ランキングでは、チェジュ、香港、上海が上位にある。これらの地域では、特にディズニーリゾートがある都市への予約が多く見られる。
国内旅行の予約者数は前年同期比で76.4%であり、平均単価は前年同期比109.4%の102,900円である。沖縄県や北海道などが人気の旅行先であり、特に島根県や香川県などは前年比で大幅に予約者数が増加している。
国内旅行の伸び率が急上昇した旅行先として、島根県が注目されている。この背景には、出雲大社の団体祈祷や特別参拝が組み込まれたツアーの好調が挙げられる。また、海外旅行の平均旅行日数は前年より1日短くなっているが、出国ピークはGW後半の5月3日、帰国ピークはGW最終日の5月6日である。これらの傾向から、GW期間中の旅行動向には、新型コロナウイルスの影響が薄れつつある一方で、経済的な要因が影響していることが伺える。