お手伝いと旅を掛け合わせた人材マッチングサービス「おてつたび」を展開する株式会社おてつたびは、ホテルや旅館などの宿泊施設における同サービスの導入件数が1000件を超えたと発表した。
近年、日本を訪れる外国人観光客の増加が続いており、2025年4月には約390万人と過去最高を記録した。一方で、旅館・ホテル業界では依然として人手不足が深刻な課題となっている。効率化を図るツールの導入や、多様な働き方の浸透により状況は部分的に改善しているが、旅行需要の拡大に見合う労働力の確保は追いついていない。
こうした状況の中で「おてつたび」は、関心の高まる短期・単発の働き方である「スポットワーク」に旅の要素を組み合わせることで、宿泊業における人手不足の確保に貢献している。「スポットワーク」は、デジタルプラットフォームを介して、必要なタイミングで迅速に人材を確保できる点が特徴である。
おてつたびに登録している宿泊施設は2025年5月時点で1000件を突破し、前年に比べて宿泊業における累計求人時間は約2倍に増加している。サービスの仕組みとしては、人手不足に悩む地域の宿泊施設などと、働きながら旅を楽しみたい人をマッチングするものである。地域の事業者は、寮や空き部屋といった宿泊場所と報酬を用意し、2ヶ月未満までの自由な期間で求人を出すことができる。
このような仕組みのもと、登録ユーザーは7.8万人に達しており、その約半数をZ世代が占めている。さらに、最近では早期退職や地方移住を視野に入れた50代以上の利用者も増加傾向にある。利用者の中には、おてつたびへの参加をきっかけに、地域での就職や二地域居住、さらには地方移住へとつながる事例も見られるようになっている。
同社は、もともと観光や旅行に関心のある人々が、観光業の現場で実際に働くことで、これまで業界に関わったことのない層にも観光業への関心を喚起するきっかけとなると考えている。実際に行ったアンケート調査では、宿泊業未経験者が63.6%を占め、参加後に宿泊業への関心が高まったと回答した割合は67.6%にのぼった。これらの結果からも、おてつたびが観光業や宿泊業への入口として有効に機能していることがうかがえる。
同社は今後も人手不足の解消を図るとともに、将来の観光人材の育成と裾野の拡大に貢献することを目指していくとしている。