九州周遊観光活性化コンソーシアムは、各地の観光振興や関係人口の増加を目的とし、「車泊(くるまはく)」という広域展開を進めている。この「車泊」とは、キャンピングカーを利用した移動・滞在を指し、プライベート空間を保ちながら密を避けることができる。2023年10月の時点で、車泊スポットは全国に64ヵ所、うち九州に52ヵ所が存在する。特に8月の利用件数は過去最高を記録し、コロナ前の10倍増で推移予測している。また、年間の車泊利用件数もコロナの影響下において2倍、4倍、8倍、10倍と堅調に増加している。
(出典:トラストパーク)
(出典:トラストパーク)
8月の利用者のデータを見ると、軒先パーキングの登録会員の居住地として、人口の多い都市や車泊スポットが近い都市が上位となっている。また、利用者の平均年齢は49歳と、計測からはじめて50歳を下回る結果となった。
また、天草~南島原周遊旅行活性化プロジェクトの「モニターツアー」は、トラストパーク株式会社の主導で実施されたものである。このツアーは、車泊やモビ泊ポイントを起点とした1泊2日の実証実験として行われ、参加者81組が9つの実証地を巡った。収集されたアンケートデータによれば、参加者の多くは九州在住であり、特に熊本、福岡、長崎からの参加が多かった。また、参加1組当たりの平均消費額は24,365円となり、食事代の占める割合が高いという結果であった。初めて車中泊体験施設に訪れた人がほとんどで、その約半分が一般車、39%がキャンピングカーでの参加であった。
車泊とは、不活用されているスペースや時間帯の駐車場を活用し、地域と来訪者を結びつける新しい形の観光モデルである。これにより、通常は泊まることが難しい場所でも長時間の滞在が可能となり、地域経済の活性化や人口増加を図ることが期待されている。