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【取材】白馬で「夏場集客」の独自ノウハウを展開する有限会社ぴー坊 新たに2施設の運営開始

白馬村で宿泊施設を運営する有限会社ぴー坊は、新たに「New Field Chalet」と「Chalet de Cotto」2施設の運営を開始した。

白馬は冬のインバウンド需要が強い一方、夏場の稼働低下や外部環境に左右されやすい収益構造が課題とされる。同社は、サウナを中心とした体験設計に加え、AIを用いた需要予測と価格調整などでグリーンシーズンの国内集客を強化し、既存施設では夏場稼働率9割を維持しているという。今回の運営拡大は、オフシーズンを含めた通年稼働のモデルを地域に広げる取り組みとして位置づけられる。

本記事では、新たに運営を開始した2施設や同社のプライベートサウナ付きドーム型グランピング施設「From P」で夏場の稼働率9割を維持している要因などについて、有限会社ぴー坊の代表取締役 大塚 栄青氏に取材した。

▷有限会社ぴー坊ホームページ:https://pbow.jp/home

―――今回新たに運営を開始された「New Field Chalet」「Chalet de Cotto」について、それぞれのコンセプトと、From Pを含む御社の運営ポートフォリオの中での役割をお聞かせください

▲New Field Chalet

今回運営を開始した2施設は、既存の「From P」が提供する“非日常的な宿泊体験”に対して、「白馬に暮らすような滞在(居住性)」を重視した一棟貸し(シャレー)タイプです。弊社のポートフォリオの中では、顧客のライフステージや滞在目的に応じて選べるよう、体験を「点」ではなく「面」で広げていく役割を担っています。

まず、New Field Chalet(ニューフィールドシャレー)は、コンセプトを「白馬の自然と調和するモダンリビング」としています。開放的な窓や広々とした空間設計が特徴で、グループ旅行や2世帯ファミリーなど、複数人でもプライベートを保ちながら、白馬の雄大な景色を室内から楽しめる拠点です。

▲Chalet de Cotto

一方で、Chalet de Cotto(シャレーデコット)は、コンセプトを「温もりを感じるマウンテン・ヒュッゲ(隠れ家)」に置いています。木の質感を生かしたコージーな空間で、カップルや少人数の友人と、薪ストーブや料理を囲みながら静かな時間を過ごしていただくための施設です。

From Pが「ドームテント×サウナ」という強いフックで、20〜30代の層に“白馬の面白さ”を知ってもらう『入り口』だとすれば、今回の新施設は、そこから白馬ファンになった方々や、より落ち着いた滞在を求める層に向けた『深める場所』です。
「体験」から「居住」へ選択肢を広げることで、顧客生涯価値(LTV)の向上を狙っています。

―――From Pで「夏場稼働率9割」を維持できているとのことですが、その実現に寄与している主要な要素は何でしょうか

From P:白馬村初のプライベートサウナ付きドーム型グランピング施設

最大の要因は、「白馬の気候特性(冷涼さ)」と「サウナ」というコンテンツの再定義によるプロダクト・マーケット・フィットだと考えています。

まず商品設計として、避暑地である白馬の「涼しさ」は、夏場において最強の資源です。ここに「本格的な個室サウナ」と「北アルプスの地下水(シングルに近い水温)」を掛け合わせることで、サウナーにとって“夏こそベストシーズン”という新しい価値をつくることができました。

そして体験価値の面では、単なる宿泊ではなく「ととのう体験」を主目的に据えたことで、天候に左右されやすい観光需要の変動を抑え、目的来店型の強い動機づけに成功しています。結果として、これまでオフシーズンとされていた夏を、むしろ「稼ぎ頭」に変えることができました。

―――AI活用によるレベニューマネジメントでは、最適化の考え方として「何を最重要の判断軸」に置かれていますか

▲プチホテルぴー坊:アットホームなサービスとリーズナブルな価格の宿泊施設

方針として最重要視しているのは、「個人の主観を徹底的に排除した、データドリブンな意思決定」です。

レベニューマネジメントにおいて、人間の「勘」や「経験則」は時にバイアスとなり、収益最大化の機会を逃す要因となります。弊社では、過去の膨大なデータ分析から将来の需要予測に至るまでをAIに委ねることで、客観的な数値に基づいた最適解を導き出しています。

「稼働率」や「客単価」といった単一の指標にとらわれるのではなく、AIが弾き出す予測データに基づいてダイナミックプライシングを自動最適化し、どのような市場環境下でも感情や主観に左右されずに収益を最大化させる体制を構築しています。

―――「From Pのサウナ」を他施設の付加価値として活用する際、宿泊体験全体として“どのような状態になれば成功”と捉えていますか

▲JOKIJOKI:北欧風のデザインと高い天井が特徴の一棟貸し施設

宿泊体験全体として、サウナ、食、土(農業)を通じて、白馬の風土と一体化する「没入体験」が提供できた時、成功と捉えています。

サウナでのリフレッシュはあくまで入り口であり、その後の体験も重視しています。

今後はこの農業体験を進化させ、面倒な管理は省きつつ収穫の喜びだけを味わえるサービスを提供予定です。「白馬に自分の畑を持っている」ような感覚をイメージしております。春・夏・秋と季節を変えて何度も帰りたくなるような、継続的な関係性を築くことを目指しています。

―――最後に、今回の運営拡大を通じて、白馬エリアに対してどのような価値を積み上げていきたいとお考えでしょうか

目指しているのは、「スノーリゾートからの脱却と、通年型マウンテンリゾートへの進化」です。

「冬は稼げるが夏は閑散、春・秋はクローズ」という従来のスキーリゾートの課題に対して、From Pの実績、つまりグリーンシーズンでも高稼働を実現できていることは、一つの解を示せたと自負しています。

私たちが運営規模を拡大し、通年で高稼働・高単価な実績を積み上げることで、「白馬は冬以外もビジネスになる」という事実をエリア全体に波及させたい。結果として、地域の雇用安定や新たな投資を呼び込み、世界に通用するオールシーズンリゾートとしての白馬のブランド価値向上に貢献したいと考えています。

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