株式会社のちのちは、世界的建築家である藤森照信氏が設計を手がける日本初の宿泊施設『小泊Fuji（所在地：長野県諏訪郡富士見町）』を8月20日に開業した。
『小泊Fuji』は周辺を田んぼに囲まれ、南アルプス、富士山、八ヶ岳を望む4000平米の敷地の高台に建てられている１日１組限定（定員５名）完全プライベートで過ごせる宿。
「自然との調和」を建築最大のテーマとする藤森氏の設計により、銅板の屋根の上に桜の木を植え、外壁を焼杉の板で覆う特徴的な建物となっている。
本記事では、『小泊Fuji』開業の経緯や魅力などについて、株式会社のちのち代表取締役 山越典子氏に取材を行った。
詳細や宿泊予約は以下の公式サイトより
▷ https://kodomari-fuji.jp/
――― どのような経緯で世界的な建築家である「藤森照信」氏による設計が実現したのでしょうか
初め「藤森建築で宿を営みたい」との旨を書いた、企画書をお渡ししました（2010 年）
その後は藤森先生にお会いする機会がある度にお手紙をお渡しして、気持ちを伝えました。
3年ほどアプローチして「土地が決まれば設計しましょう」とお返事をいただき、いまに至ります。
詳しくは「藤森旅館へつづく道」を検索してご覧ください。
―――『小泊Fuji』の場所に長野県諏訪郡富士見町を選んだ理由は何でしょうか
以前、候補となっていた土地が富士見町だったため、茅野市から富士見町へ移住しました。
候補地が白紙に戻り、住みやすい同町で改めて土地探しをしたところ、今の土地で事業ができることとなりました。
――― 銅板屋根の施工費用にクラウドファンディングを活用したとのことですが、クラウドファンディングを活用した理由とプロジェクトが成功した要因をどのようにお考えか教えてください
藤森建築では、施主とその仲間が建築の仕上げ作業に関わることが多く見られます。
自身も過去に藤森建築の建築作業にかかわらせて頂いた経緯から、関わった建物に愛着が湧くこと（たくさんの人に愛される建物）が実感としてありました。
企画段階から長い期間を経ていたこともありましたし、企画に対して多くの人にご興味を持っていただく良い機会だと思いました。
私が発起人となって始めたクラウドファンディングでは、資金が集まったこと以外に、多くの方に小泊Fujiを知って応援していただくきっかけとなりました。
達成の要因としては、メディアで取り上げられたことで「藤森建築ファン」「建築ファン」の目に触れたことが大きかったと考えています。
藤森建築の建築作業に関われる機会は稀なため、多くの方にリターンの建築ワークショップにご参加いただきました。
――― 『小泊Fuji』の魅力やこだわったポイントを教えてください
藤森建築と環境を一組限定で過ごすことができ、夜、朝と一日を通してしか感じられない特別な体験をしていただける事と思います。
四季折々の里山の景色、刻一刻と変化する空気感などを存分に感じられる魅力がございます。
サービスに関しまして、便利すぎない事や新しい体験をお持ち帰りいただけるような滞在を目指しております。
――― 最後に『小泊Fuji』での宿泊を通して、お客様にどのような体験や価値を提供したいかを教えてください
「いのちの中で呼吸する」をコンセプトに、気持ちの良い健やかな滞在を提供していきたいと考えています。
日常に戻った時に、思い出してはこの景色の中に戻ってこられるような思い出の地になれば幸いです。
■小泊Fuji概要
・所在地：長野県諏訪郡富士見町（プライベート施設につき住所は非公開）
・敷地4000平米／客室面積63平米
・1日1組限定（定員5名）
・朝食付き（セルフサービスでのご用意）
・ミニキッチン付き
・公式サイト：https://kodomari-fuji.jp/
■宿泊料金（税込み）
一棟基本料金 66,000円（季節変動あり）
大人8,800円 中学生5,500円 小学生3,300円 小学生以下無料（詳細は公式サイト）