20205年5月1日、日本三景・天橋立を望む場所にブティックホテル「mizuya(ミズヤ)」(所在地:京都府宮津市鶴賀2085)がグランドオープンした。
「mizuya」は、宿泊者が地域の空気や文化を感じられることを目指し、土地に根ざした物語や素材を丁寧に取り入れて設計されている。併設のcafe&bar「菓寮 浮雲」とともに、訪れる方々に特別な滞在体験を提供するとのこと。
本記事では、「mizuya」開業の経緯や魅力などについて、運営を担っている株式会社京都丹後企画に取材を行った。
▷予約サイト:https://www.chillnn.com/193ddce366e31f
▷公式サイト:https://mizuya-kyoto.com/
―――「mizuya」開業に至るまでの経緯や、天橋立という場所を選ばれた背景を教えてください。地元企業として、この地で宿を開くに至った理由や狙いも含めてお聞かせください。
株式会社京都丹後企画は、2024年7月に京都丹後エリアのまちづくりを目的に設立した会社です。地元でクラフトビールの製造・販売を行う株式会社ローカルフラッグ(以下、ローカルフラッグ)と、全国で、不動産開発を中心に地域に根ざしたまちづくり事業を手がける株式会社NEWLOCALが共同で立ち上げました。
「mizuya」は、プロデュースを手がける株式会社水星(以下、水星)とのご縁から生まれたプロジェクトです。当社の地域への思いや構想に共感いただき、運営をお任せいただくことになりました。
宿があるのは、日本三景・天橋立の玄関口にあたる宮津の市街地。少し足を伸ばした場所には、ローカルフラッグが手がけるクラフトビールの醸造所があり、また当社が運営するビアパブ「Hashigoya」も同じ宮津エリアに展開しています。これら複数の拠点を連携させ、街全体の魅力を高めていきたいという思いで、この地を選んでいます。「mizuya」を起点に、宮津や京都丹後エリアの多様な魅力を発信していきます。
―――既存の地域宿泊施設や、前施設「hashigoya」と比べて、「mizuya」ならではの特長や差別化ポイントはどこにあるとお考えですか?
宮津や丹後の宿泊施設は、古くからの由緒正しき旅館が多く、ブティックホテルやシティホテルに分類される施設はあまりありませんでした。そういった旅館や民宿は、今感じられる宮津らしさを長い時間をかけて作り、守り抜いてきた大切な要素だと捉えています。mizuyaはその宮津らしさを現代の価値観で再解釈した施設と言えます。
天橋立や伊根の舟屋など観光地としての賑わいもあり、国内外問わず文化的感度の高い方々が宮津での滞在をより楽しんでいただけるホテルにしていきたいと考えています。
また、宮津には若者が好むカフェや遅くまで営業しているバーがあまりないため、いつもより少し贅沢な時間を過ごせる場所として、地元の方にも楽しんでいただきたいです。
―――プライベートサウナやカフェバー「菓寮 浮雲」など、空間全体に五感を刺激する工夫が凝らされていますが、設計や体験設計において特に重視した点はどこでしょうか?
特に重視したのは、「宮津」という土地の歴史的・文化的な背景を丁寧に紐解き、それを空間全体に落とし込むことでした。
宮津は、古くから世界と京都を結ぶ“都の港”として、人・もの・文化が交わる玄関口のような場所でした。私たちはその役割を「水屋(みずや)」という概念に重ね、訪れる方が心身を整え、豊かな感性をひらく場所として「mizuya」と名付けました。
また、「菓寮 浮雲」では、平安時代の宮中行事「曲水の宴」から着想を得て、テーブル上に水を流し、水影が天井に反射する演出を取り入れています。盃を浮かべて流し、和歌を詠むという優雅な遊びに倣い、お料理もお盆に乗せてお客様のもとへと流れていく仕掛けにしています。「曲水の宴」は、中国・朝鮮半島の文化が日本に入ってきたのが発祥という説もあり、日本文化でありつつ元を辿ると異国に繋がっているという、文化の連なりを感じさせる体験も意識しました。
さらに、地域で引き継がれてきた伝統工芸もmizuyaのもっとも大切な要素の1つです。丹後ちりめんや藤織り、黒谷和紙といった素材を、ただ展示するのではなく、カーテンやルームナンバーなどにさりげなく取り入れ、土地の記憶を五感で感じていただけるよう工夫しました。
―――地元の職人やクリエイターとのコラボレーションはどのように実現されたのでしょうか?選定の意図や今後の展望もあれば教えてください。
コラボレーションについてはプロデュースを手がけた水星が担いました。直接繋がりがあった職人やクリエイターの方はおらず、間接的にご紹介いただいたり、作品や実績に感化されて一緒にmizuyaを作って欲しいと思う方々にお声がけし、チームを組成していきました。たくさんの時間と手間をかけ、プロの底力を発揮していただいたチームの皆さんには感謝しかありません。
今後も海の京都エリアで活躍されている方を中心に輪を広げていき、いろんなmizuyaの表情を見せていきたいと考えています。
―――「hashigoya」「mizuya」と続く地域拠点展開において、京都丹後企画としての今後のビジョンや、目指す地域との関係性についてお聞かせください。
京都丹後企画としては、「Hashigoya」と「mizuya」を起点に、宮津エリアでの展開を進めつつ、今後は与謝野町や京丹後市など、さらにエリアを広げていく予定です。宿泊施設や飲食店など、旅行者にとっての新しい目的地となるような「場」をつくり、地域全体の魅力を高めていきたいと考えています。
京都丹後エリアには、多くの魅力的なコンテンツがありますが、エリアが広く点在しているため、まだ多くの人に知られていない部分もあります。私たちの場づくりを通じて、天橋立や周辺地域に興味を持ってもらい、さらに足を延ばして、他の魅力的な場所にも足を運んでもらえるようにしていきたいと思っています。
また、「Hashigoya」や「mizuya」のオープンにあたり、地元の作り手やクリエイターにも積極的に空間づくりに関わっていただきました。これからも地域との連携を大切にし、地域との関係性を深めていきながら、次なる拠点を開発していきたいと考えています。
■施設概要
施設名:mizuya(ミズヤ)
所在地:京都府宮津市鶴賀2085
客室数:全9室
・スイートルーム(サウナ付き)2室
・デラックスルーム 3室
・スタンダードルーム 4室
共用設備:1Fラウンジ&カフェカウンター(宿泊者以外も利用可)
開業日:2025年5月1日
予約サイト:https://www.chillnn.com/193ddce366e31f
公式サイト:https://mizuya-kyoto.com/