京都・三条烏丸に、京都の伝統と現代の感性を融合した体験型ホテル「HANARE by Tokyu Stay」が9月29日に開業した。東急リゾーツ&ステイ株式会社が運営する同ホテルは、旧「東急ステイ京都三条烏丸 別館はなれ」を全面リニューアルしたもの。
館内では、老舗酒造・キンシ正宗の日本酒を味わう利き酒体験、デジタル技術を取り入れた茶道体験など、五感で京都を感じる多彩なコンテンツを提供。周辺ホテルや商店とも連携し、街を巡りながら京都の魅力を深く味わえる滞在を提案している。
本記事では、リニューアルの背景やホテルの魅力について、東急リゾーツ&ステイ株式会社に取材した。
▷公式サイト:https://www.tokyustay.co.jp/hotel/hanare-by-tokyustay-sanjo-karasuma-kyoto/
―――今回「別館はなれ」を全面リニューアルして「HANARE by Tokyu Stay」として開業された背景や狙いをお聞かせください。
今回のリニューアルでは、もともと「東急ステイ京都三条烏丸」の別館として運営していた「別館はなれ」を、母屋から独立した『京の別邸』として再構築しました。名称も「HANARE by Tokyu Stay」と改め、9月29日に新たに開業しています。多人数でも快適にご利用いただけるホテルとして、訪れるお客様一人ひとりが京都の文化や空気に深く触れ、「ここにしかない滞在体験」を感じていただけるような空間づくりを実現しています。
京都は、日本の中でも特に人気が高く、世界中からお客様をお迎えしている国際観光都市です。そこで、東急ステイの特長である「高い滞在機能」に加え、京都ならではの風情や文化をより深く感じていただきたいという想いから、「滞在そのものが特別な体験となる宿泊施設」をコンセプトに全面的な刷新を行いました。
―――客室は「悠・幽・遊・融」をテーマに設計されていますが、それぞれのコンセプトをどのように空間に反映されているのでしょうか。
4つの“ゆう”は、京都の四季の自然風景を取り入れながら客室の至るところにお客様の感性に響くようデザインされています。
例えば、客室はその多くが広々とした空間で、外光を柔らかく取り込んだ室内はゆったりとした雰囲気をまとい「悠然」を感じさせます。
また、部屋の間仕切りには透け感のあるカーテンを用い、そこにあいまいさや奥行きを感じさせる「幽玄」を。さらに、カーテンや壁面のファブリックには京都の自然を抽象的に描き、芸術性と遊び心を込めた「遊芸」を取り入れています。
そして、洋の要素であるカーテンを、衣紋掛けのような和のデザインのレールに組み合わせることで、和と洋の「融合」を体現しています。
―――「五感で楽しむ京都体験」を掲げていらっしゃいますが、特に力を入れている体験コンテンツはどれでしょうか。
ぜひ注目していただきたいのは、日本の伝統文化と先進技術を融合させた「デジタル茶室」です。映像・音響・光によるデジタル演出を通じて、従来の茶道体験を現代的に表現したもので、三斎流観翠庵の梅村尚子氏に監修をお願いしています。
30分ほどの時間で、茶の歴史に触れ、作法を学び、実際にお茶を点てて味わうまでを一連で体験でき、五感で楽しんでいただける没入型プログラムです。
もうひとつご紹介したいのが、デジタルサイネージを活用した「Take a Stroll Around Kyoto」です。画面に触れるだけで、街の情報を多言語で閲覧でき、スマートフォンでQRコードを読み取れば、そのまま外出先でも情報を参照できます。
このサービスで提供している情報は、HANARE by Tokyu Stayのほか、三条・四条エリアにあるグループホテル(東急ステイ京都三条烏丸、東急ステイ京都阪井座、nol kyoto sanjo)のスタッフ達が、周辺の街の人々や店舗などと一緒に作成しており、店舗情報のほか、おすすめの散策ルートやオリジナルの周遊マップとしてご提案しています。
―――利き酒体験やデジタル茶室、調香体験などを導入されていますが、それぞれの体験を企画する際に大切にされたポイントは何ですか。
一貫して大切にしているのは、「京都をより深く世界へ発信」していくことです。
利き酒体験では、歴史ある地元の日本酒を好みのお猪口で味わうという日本ならではの愉しみ方を体験していただくとともに、利き酒を通じて、酒の種類や味わいの違い、歴史などを知るきっかけを創出し、文化理解を深めていただけます。
加えて、デジタル茶室では音や映像、アートも融合させた新しい茶道体験を提供しており、どの体験も五感を通して京都をより深く体験できるよう工夫しています。
また、ホテル近隣にございます「mikou【京都でお香作り】」では、京都の四季や文化をイメージしたオリジナルの香りを調合し、自分だけの“京都の記憶”を創り出す体験をお楽しみいただけます。
お客様が「能動的に参加」できる体験であることにより、見る・聞くだけでなく、自らの五感を使って選び、創り、感じるという能動的な関わりが、旅の記憶として深く刻まれると考えています。
―――近隣のグループホテルや地元商店との連携を強化されていますが、地域とどのような形で共創していくことを目指しているのでしょうか。
私たちは、ホテルが「地域の文化発信地」となることを目指しています。
地元商店とのコラボレーションでは、特産品の紹介やワークショップ、ポップアップショップなどを展開し、お客様と地域をつなぐハブとしての役割を果たしています。
また、近隣のグループホテルとも連携し、宿泊の分散化や体験価値の共有を図ることで、「面」で京都を楽しんでいただける仕組みづくりを進めています。
地域に根差し、地域とともに発展していくサステナブルな共創関係を築いていきたいと考えています。
―――最後に、「HANARE by Tokyu Stay」で実現したい今後の目標や役割をどのように描いていらっしゃいますか。
京都で得た経験やお客様の声を活かして、今後は他の都市や新しいサービスにも展開していきたいと考えています。また、京都の文化を世界へ発信する拠点としての役割も担いたいと思っています。
観光だけでなく、より深い文化体験を通して、お客様と地域の双方に価値を提供すること。そして、日本ならではの技術やおもてなしを通じて、日常に新しい発見や変化をもたらす“体験型滞在”を提供し続けること。
それこそが、私たちが目指す「ライフスタイルホテル」の在り方です。
■「HANARE by Tokyu Stay」施設概要
所在地:〒604-8173 京都府京都市中京区両替町通姉小路下る柿本町 410 番地 2
TEL:075-748-1109
客室数:42 室(全 7 タイプ)
付帯施設:
らうんじはなれ、デジタル茶室「茶幻 〜sagen〜」、
京都ことこと(朝食会場/東急ステイ京都三条烏丸 1 階)
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅 6 番出口より徒歩 2 分
公式サイト:https://www.tokyustay.co.jp/hotel/hanare-by-tokyustay-sanjo-karasuma-kyoto/