大阪を中心に民泊・貸別荘施設を運営する株式会社LDKプロジェクトは、高級民泊ブランド「えにし」を本格始動し、2026年1月1日に京都府南丹市美山町でフラッグシップ施設「えにし美山-霞月-(えにしみやま かげつ)」を開業した。
築年数不詳の茅葺古民家を地元の職人の手で改修し、伝統的な意匠を残しながら断熱性能など滞在の快適さも確保。土鍋で炊く美山産コシヒカリ、茶香炉やお香といった和の体験要素に加え、プライベートサウナや半露天風呂を備える。
本記事では、ブランド立ち上げの背景や施設のこだわりなどについて、株式会社LDKプロジェクトに取材した。
▷公式サイト:https://enishi-jp.com/miyama-kagetsu/
―――高級民泊ブランド「えにし」を立ち上げた背景と、無人でありながら温もりを届けるために「空間そのものにおもてなしを宿す」という方針に至った理由を、差し支えない範囲でお聞かせください。
民泊は効率的で自由な反面、どこか無機質で寂しさを感じる瞬間がありました。「えにし」は、その課題への挑戦でもあります。私たちが目指したのは、スタッフが不在でも“人の気配”や“温もり”が感じられる、いわば「ひとのいない旅館」です。
「もし自分が泊まるなら」を突き詰めた結果、土鍋で炊くご飯の湯気や、茶香炉の香り、地元職人によって細部まで整えられた設えそのものが、ゲストを包み込む「おもてなし」になると確信しました。無人だからこそ、五感に響く静かな温もりを届けたいと考えています。
―――フラッグシップ施設「えにし美山-霞月-」で、“人の手の痕跡”や“時間の重なり”を感じてもらうために、特にこだわった設えはどこでしょうか。
最大のこだわりは「時間の継承と現代の快適性の融合」です。
築100年を超える古民家ゆえ、柱や梁はすべて歪みがありました。一つひとつ細かく計測しながらの再生は困難を極めましたが、歴史の痕跡こそが建物の魂であると考え、あえてそのまま活かしています。
また、着工後に茅葺き屋根の深刻な雨漏りが発覚し、急遽全面的な葺き替えを決断しました。想定外の大工事となりましたが、結果として堂々たる美しい茅葺き屋根が蘇りました。
一方で、古民家の課題である寒さを解消するため断熱性能を徹底し、水回りはモダンなデザインに一新しています。特に畳とソファが調和するリビングは、家具の高さを抑え、視線を低く保てるくつろぎ空間を意識しました。新旧の苦労と工夫が馴染み合い、初めてでも温かみと懐かしい感覚を提供します。
―――美山の茅葺古民家という舞台を選んだことで生まれる、「ここでしか得られない滞在価値」を一言で表すと、どのような言葉になりますか。
「静寂の中に息づく歴史と自然に、自らの五感を委ね、“あるがまま” を取り戻す」——そんな言葉がしっくりきます。
都会のノイズから遮断された美山の静けさは、ただ静かなだけではありません。茅葺きや木の香り、鳥や虫の声など「生命の音」に満ちています。何もしない贅沢の中で、こころもからだも整っていく感覚は、この場所でしか味わえない価値だと考えています。
―――プライベートサウナは「S字型にカーブした横たわれるスペース」、出てすぐの水風呂、ラタンチェア、壺風呂・シャワーが近接する動線などが特徴ですが、一般的なプライベートサウナと比べて“ここが違う”といえるこだわりはどこにありますか。なぜその仕様にされたのかも併せて教えてください。
一般的なサウナは「座る」箱型が多い中、当施設では「心身深く落ち着く」ことに特化し、身体のラインに沿うS字型の寝転べるスペースを手がけました。熱を全身で均一に受け止め、深いリラックスへと誘います。
さらに、サウナから水風呂、外気浴への動線は、思考を働かせることなく、くつろいだ状態から直感的に動ける「ととのいへの最短距離」を計算しています。美山の自然を眺めながら、ストレスなく没入できる環境は、これまで施設設計に携わってきた私たちのこだわりが、特に表れている部分だと思います。
―――最後に、「えにし美山-霞月-」を訪れる方に、滞在を終えてどのような気持ちで日常へ戻ってほしいか——宿として届けたいメッセージがあればお聞かせください。
滞在を終えた時、「落ち着きがあって、温かい気持ちになった」と感じていただければ本望です。誰にも会わずに過ごした時間の中で、土鍋のご飯やお香のかおり、再生された古材の香りや手触り。それらを通じて、私たちの “見えない、けど感じられるおもてなし” を受け取っていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
日常に戻られた際、ふとした瞬間に美山の静けさを思い出し、心が少し軽くなるような、人生の1ページとなるひとときであれば幸いです。
■当施設の概要
施設名:えにし美山-霞月-(えにしみやま かげつ)
住所 :〒601-0765 京都府南丹市美山町福居勘定ノ本23番地
アクセス :京都市内から約1時間半、大阪市内から約2時間半
※乗用車2台まで施設内駐車場ご利用可能です。
料金プラン:75,000円~
公式サイト:https://enishi-jp.com/miyama-kagetsu/