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2018年福岡市ホテル開業ラッシュと訪日韓国人

近年特に訪日外客が急増している韓国。2017年は700万人を超え、訪日外客数トップの中国をとらえる勢いを見せた。特に訪日韓国人は地理的な近接性もあり福岡の人気が高く、福岡のホテル新設ラッシュを後押ししている。

群を抜く福岡市沿岸部での新規ホテル開業数
メトロエンジンリサーチによると、福岡市内で、2018年新たに開業を予定している宿泊施設は実に、7件もあり、いずれも8階〜14階建の大型の新築ホテルとなっている。福岡市内の既存の宿泊施設数は325件から332件に増加し、年間で約2.2%の伸び率を示す。

      九州域内のホテル新設予定数

出典:メトロエンジンリサーチ

上記のグラフの通り、この数字は九州の他県の新設予定(2018−2020年)のホテル数と比べても、鹿児島県3件、熊本県2件、大分県2件、長崎県1件と突出して多い数字である(宮崎県や熊本県、佐賀県では新設予定は確認できなかった)。
福岡県内での新設予定のホテルは、福岡市のみとなっており、新規ホテル7件の内5件が福岡空港と博多港が所在する博多区に集中しているのも特徴であり、残りの2件も博多湾に面して隣り合う中央区と一つの場所に集中している。

急増する訪日韓国人
この福岡でのホテル新設ラッシュの背景には、急増する訪日韓国人があった。
訪日韓国人は急増しており、2017年に日本を訪れた韓国人の数は、714万200人で735万人あまりだった中国に次いで2位で、前年からの伸び率は40.3%を記録し、伸び率でも40.8%のロシアに次いで2位だった。

訪日韓国人数の推移

出典:日本政府観光局(JNTO)統計

上記のグラフの通り、訪日韓国人の増加傾向はここ数年続くもので、決して一過性のものではなく、245万人(2013年)、275万人(2014年)、400万人(2015年)、509万人(2016年)とその数を急激に伸ばしてきた。
また、2018年に入ってからもその勢いはさらに加速しており、2018年1月の訪日韓国人は80万3,800人を数え、中国(63万2,300人)を抑えてダントツのトップだったことから、2018年は韓国が中国を上回り訪日数トップに立つ可能性が高まっている。

訪日韓国人の福岡入国数は、首都圏に匹敵

訪日韓国人の入国空港・海港割合

出典:観光庁訪日外国人消費動向調査

上記グラフの通り、2017年の観光庁の消費動向調査によると、訪日韓国人の入国空港として最も人気が高いのは、関西国際空港(約33%)だが関西国際空港に次いで2位につけているのは、成田国際空港(13%)、東京国際(羽田)空港(9%)といった首都圏2空港ではなく、福岡空港の18%である。
さらに、博多港から約3%が船で訪日していることを合わせると福岡の割合の大きさは21%で成田・羽田を合わせた数と同規模であることがわかる。

理由としては、空路は地理的にソウルから約1時間程度で到着してしまう点で、気軽に日本旅行に来ることができることが第一にある。
また、そのほかにも福岡はLCC(格安航空会社)が多く乗り入れ、Peachなど6社が就航しており、航空運賃が安い点も大きい。ソウル・福岡間の航空チケットは往復で平均額2万円ほどで、シーズンや日程によっては1万円を切るケースも見受けられる。
近年のクルーズ船の人気の高まりにより、釜山・博多港の利用も、高速船でわずか3時間の気軽さから、クルーズ船初心者にも人気が高い。
さらに、博多ラーメンや韓国のキムチに起源を持つという明太子などの食べ物も韓国人には大人気となっている。

今後の課題としては平均宿泊数が4.3泊と短い滞在の訪日韓国人のニーズをいかに掴み、そして長期滞在につなげられるかだろう。
訪日韓国人は20代の若者の友人同士での渡航が目立っている。こうした点に着目してコアな日本通のリピーターから、さらに支持を広げられるかどうかが福岡の宿泊施設としても取り組むべき課題と言えるだろう。

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