明治の息吹を残す古民家が、ペットと泊まれるフレンチオーベルジュとして再生。福岡県宗像市の「オーベルジュ カラ 宗像 with ritomaru」が、株式会社りとまるの手により2025年10月6日にリブランドオープンした。
かつて日本酒の蔵元「勝屋酒造」が営まれた地を舞台に、築明治20年の趣ある建物が、美食とアート、そして静けさに包まれる滞在空間へと生まれ変わった。西日本初(※)となる「すべてのペットと宿泊できるオールインクルーシブの宿」として、愛犬や愛猫と共に心ゆくまで非日常を味わえるのが特徴だ。宗像の自然が育む旬の食材を用いたフレンチや炭火焼き、遠赤外線効果が心地よい五右衛門風呂など、五感を満たす体験が待っている。
本記事では、リブランドの経緯や施設の魅力などについて、運営を担う株式会社りとまるに取材した。
▷公式サイト:https://ritomaru.co.jp/auberge-kala
(※) 2025年9月9日時点、株式会社りとまる調べ
―――リブランドにあたり、「オーベルジュ カラ 宗像」の魅力をどのように受け継ぎ、また新たにどんな価値を加えられたのでしょうか。
今回のリブランドでは、ローカルツーリズム株式会社が築き上げた「オーベルジュ カラ 宗像」の素晴らしい魅力を根幹として、弊社(株式会社りとまる)の運営ノウハウを融合させることで、新たな価値を付加いたしました。
まず大切にしたのは、築明治20年の古民家という建物そのものが持つ歴史的価値です。この建物は、かつて地元の老舗酒造「勝屋酒造」の創業地として知られ、由緒ある背景を持っています。その趣を損なうことなく丁寧に改装し、歴史と現代が調和する空間に仕上げました。
また、上村シェフによる本格フレンチレストラン「キャトルセゾン宗像」や、水野富美夫氏・キース・スペンサー氏などのアートコレクションもそのまま継承。お客様に感動を届ける大切な要素として受け継いでいます。
新たに加えた価値の筆頭は、西日本初となる「すべてのペットと泊まれるオールインクルーシブの宿」というコンセプトです。
ペットが同伴できる宿泊施設は増加傾向にあるものの、ペットの種類、大きさ、頭数、客室の限定、共用スペースでの利用制限など、自由度の高い宿は少ないのが現状です。当宿ではこれらの制限なく、宿泊施設への同伴が難しかったペットも大切な家族の一員として、気兼ねなく贅沢な時間をお過ごしいただけます。
さらに、チェックインからチェックアウトまでお食事、お飲み物、SPAなどが宿泊料金に含まれるオールインクルーシブプランの導入により、追加料金を気にすることなく、心からリラックスした滞在を満喫できるようになりました。
このほか、宗像の自然や文化に触れるアクティビティの提案なども加え、従来の宿泊の枠を超えた総合的な体験価値の提供を目指しています。
―――西日本初となる「すべてのペットと泊まれるオールインクルーシブの宿」を掲げられた背景と、実現に向けたこだわりをお聞かせください。
このコンセプトは、弊社の企業理念である「生きとし生けるものに笑顔と感動を届ける」という想いを具現化するものです。
弊社は長崎県壱岐市を拠点に、これまでもすべてのペットと宿泊できる一棟貸しヴィラを展開しており「ペットは家族の一員である」というお客様の想いに応えてまいりました。
その中で、西日本にはペットと共に気兼ねなくハイレベルな滞在を楽しめるオールインクルーシブの宿泊施設がまだないことに着目し、この度のリブランドを機に実現する運びとなりました。
実現に向けたこだわりとして、様々な種類のペットをお迎えできる体制を整えました。頭数制限を設けず、ペット料金もいただかないことで、お客様の心理的・経済的な負担を軽減しています。
また、オールインクルーシブのサービスを徹底することで、飼い主様がペットとの時間を心ゆくまで楽しめる環境を創出しました。古民家という歴史ある空間でありながら、ペットにとっても快適で安全な滞在となるよう、細やかな配慮を重ねております。
―――築明治20年の古民家を改装されたとのことですが、保存と快適性を両立するために特に工夫された点があれば教えてください。
古民家の保存と現代的な快適性の両立は、今回のリブランドにおける最も重要なテーマの一つでした。工夫した点として、まず歴史的意匠の保存が挙げられます。 古民家特有の梁や柱、木の温もりを感じさせる内装は可能な限りそのまま活かし、建物が持つ歴史の重みを肌で感じていただけるようにしました。
その象徴が、庭内に設えた五右衛門風呂です。薪をくべて湯を沸かすという日本の伝統的な入浴文化を、現代の贅沢なSPA体験として蘇らせています。
一方で、快適性向上のため、現代的な設備も積極的に導入しています。
客室には上質な寝具や、イケウチオーガニック製のタオル、タイのナチュラルスキンケアブランド「THANN」のアメニティをご用意し、心地よいご滞在をお約束します。古民家の中にありながら、シャワーブースやキッチン、Wi-Fi環境なども完備し、長期滞在でも不便を感じさせない設えとなっております。
歴史の保存と現代の快適性が融合することで、他にはないユニークな宿泊体験が生まれると考えております。
―――お食事やアート展示など、施設内の多様な要素を通じて、どのような「体験価値」や「滞在ストーリー」をお客様に届けたいとお考えですか。
私たちが届けたいのは、「宗像の自然と芸術を五感で味わう、静謐のオーベルジュ」というコンセプトに集約される、心満たされる滞在ストーリーです。
お客様がこの地に足を踏み入れた瞬間から、物語は始まります。
まず、歴史を重ねた古民家の静かで温かな空気が日常の喧騒を忘れさせ、館内に飾られた数々のアートが知的好奇心を刺激します。
お食事の時間には、宗像の豊かな自然を表現した「芸術品」とも呼べる珠玉のフレンチが、味覚だけでなく視覚も楽しませてくれます。
そして夜には、五右衛門風呂の柔らかな湯に身を委ね、心身ともに解き放たれる――。
食事、アート、建築、自然、そしてサービスといった多様な要素が有機的に結びつき心に響く、唯一無二の「体験価値」と「滞在ストーリー」を紡ぎ出すことを目指しています。
―――今後、りとまるとして他地域での展開や宿泊施設再生をどのように進めていかれるご予定でしょうか。
今後の展開として、長年培ってきた宿泊施設運営の専門知識とノウハウを活かし、集客にお困りの既存ホテルや旅館の運営を積極的に引き受けてまいりたいと考えております。
私たちは、ただ運営を代行するのではなく、その地域に根ざした魅力的な宿泊体験を創出することで施設の価値を最大化し、持続可能な事業展開を支援するパートナーとなることを目指します。
これまでにも、宿泊施設の運営だけでなく壱岐島の古民家カフェや郷土料理店の事業承継、そして今回のオーベルジュのリブランドなど、様々な形で既存施設の再生に携わってまいりました。
今後も、壱岐島、宮古島、福岡、熊本といった現在の展開エリアに加え、私たちの理念に共感してくださるオーナー様とのパートナーシップを通じて、日本の観光産業の活性化に貢献していく所存です。
■施設概要
施設名:オーベルジュ カラ 宗像 with ritomaru
所在地:〒811-4143 福岡県宗像市三郎丸4-17-4
TEL:050-8886-0515
チェックイン:15:00〜
チェックアウト:10:00
公式サイト:https://ritomaru.co.jp/auberge-kala
公式Instagram:https://www.instagram.com/french_auberge_munakata/
アクセス:
<小倉方面から宿まで>
・電車:JR小倉駅からJR赤間駅まで約32分(区間快速利用)
・徒歩:JR赤間駅北口から約22分
・JR赤間駅北口前から約4分(1.7km)
<博多方面から宿まで>
・電車:JR博多駅からJR赤間駅まで約34分(区間快速利用)
・徒歩:JR赤間駅北口から約22分
・JR赤間駅北口前から約4分(1.7km)
<お車で>
九州自動車道若宮インター出口より車で約29分