ケアンズ観光局は、2019年のオーストラリアへの日本からの旅行者数が45,7852名であり、そのうちケアンズエリアへの観光客が全体の24%を占めていることを報告した。2023年6月の時点で、観光客数は2019年と比較し、70%の回復を遂げている。日本からの直行便も増便され、輸送力は29%増加している。
ケアンズエリアのインフラ整備も進められており、海岸通り、コンベンションセンターなど、ケアンズ空港を中心とした多岐にわたる整備が行われた。総額約309億円をかけたこれらの取り組みは、観光客の受け入れ体制をさらに強化するものである。
また、ケアンズ観光局はオーバーツーリズムの問題にも取り組んでいる。管轄地域にあるグレートバリアリーフと熱帯雨林は世界自然遺産であり、その保護と観光の両立が求められる。そのための具体的な取り組みとして、入島者数の制限や「サンゴに優しい泳ぎ方」の普及などが進められている。
さらに、クイーンズランド州政府は2050年のネットゼロ達成のための取り組みを立ち上げており、ケアンズ観光局もその取り組みに協力している。これらの取り組みを通じて、ケアンズ&グレートバリアリーフ地域は「エコ・ラグジュアリー」の推進や「グリーン・ティア」プログラムを展開している。
ケアンズ観光局は、今後もオーバーツーリズムという世界的な課題に取り組むとともに、地域の魅力を伝え、多くの人々に体験してもらうための活動を柔軟に進めることを宣言している。
以上の取り組みは、日本の観光市場でも参考になるものである。日本のインバウンド市場においても、アフターコロナにおいて多くの観光客が戻り始めており、インフラの整備やオーバーツーリズムへの対策などが今後必須となってきている。ケアンズが示す持続可能な観光のあり方は、我が国の観光地での取り組みにおいても有益な示唆を与えることだろう。